内分泌疾患専門病院
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野口病院におけるバセドウ病手術

野口病院におけるバセドウ病手術

野口病院で行っているバセドウ病手術は,甲状腺亜全摘術です。これは甲状腺のすべてを取り去る手術法(全摘)ではなく,大部分を切除して一部分を残す手術法です。この手術法は野口病院が開院して以来,継続して改良を重ねてきた手術法で,長い間この手術法を採用して良好な成績が得られています。

当院のバセドウ病手術の目標は,

  1. 手術による合併症をおこさないこと
  2. 術後にできるだけお薬をのまずに生活できるようにすること

です。

切除する甲状腺の量は,患者さんの甲状腺の大きさにもよりますが,おおむね8割〜9割を切除して1割〜2割を残しています。たとえば手術前の甲状腺推定重量が20グラムと比較的小さな甲状腺腫の場合は,16グラム程を切除して4グラム程を残します。50グラムとやや大きめの場合は,45グラム程を切除して5グラム程を残します。50グラムを超えるような大きな甲状腺腫の場合は9割以上切除となりますが,おおむね5〜6グラムを残しています。エコーで測定した場合,正常の甲状腺の大きさは10グラム弱くらいですので手術で残す甲状腺の量は正常よりも小さく残していますが,バセドウ病の甲状腺組織であるため術後のホルモン分泌が十分期待できる大きさです。

手術時間は,甲状腺の大きさによって異なりますが,およそ40分〜1時間程度です。かなり大きな甲状腺の場合は1時間を少し超えることもあります。

患者さんにとって,くびの手術跡はとても気になる問題です。バセドウ病手術では左右対称の横切開の手術跡となります。皮膚切開の長さは切除する甲状腺の大きさによって異なりますが,50グラム以下では4 cm位,80〜100グラムくらいになると6 cm位です。100グラムを超えるような大きな甲状腺では,大きさに従って長くなります。くびのしわに沿った切開をおこなっていますので,しわの位置が切開部位になります。手術後は創部に軟膏を塗るなどのケアをしていただくと,3ヶ月〜半年ほど経った頃にはかなりめだたなくなってきます。

 

つづく

バセドウ病の手術について、次回は「手術の合併症」です。

(野口病院外科 内野眞也)