内分泌疾患専門病院
甲状腺・副甲状腺疾患、糖尿病などの生活習慣病

甲状腺疾患の薬ー甲状腺ホルモン剤

甲状腺ホルモン剤

甲状腺が分泌するホルモン(レボチロキシン)の量は,1日あたり約90μg(マイクログラム)です。甲状腺機能の低下が続く場合は,不足している甲状腺ホルモンを内服薬で補います。これを補充療法といい,チラーヂンS錠あるいはレボチロキシンNa錠が処方されるのが一般的です。補充に必要な薬の量は,その人の甲状腺のホルモン産生能力や体重などによるため,個人個人で異なります。1錠にレボチロキシンをどれだけ含むかによっていくつかの規格があり(下表参照),これを1つ,または複数組み合わせて,その人に合った量が処方されます。
この薬はからだのなかで作られる甲状腺ホルモンと同じ成分ですので,薬の量を間違えて飲むことさえなければ,副作用が出る心配はまずありません。また,薬を飲み始めて十分な効果が得られるには,2週間以上かかります。医師の指示どおり,毎日忘れずに決まった量を内服してください。
チラーヂンS錠とレボチロキシンNa錠の有効成分は同一で,価格も同じです。

規格
12.5μg 25μg 50μg 75μg 100μg
チラーヂンS錠
レボチロキシンNa錠

 

この他にチロナミン錠という薬があります。この薬は効果が早く現れますが,からだの中ですぐ代謝されるため,効果が持続する時間がとても短いです。したがってこの薬は短期間で甲状腺ホルモンを上昇させたいときなど,特殊な場合に処方されます。チラーヂンS錠・レボチロキシンNa錠とチロナミン錠を併用して補充する場合もあります。

(野口病院薬局薬剤師)