運動には以下のような様々な効果があります。
インスリンの感受性を改善し、運動のエネルギー源としてブドウ糖を使うため血糖を下げる効果があります。
食事療法を充分に守りながら運動を行うことにより不要な体脂肪を減らすことができます。筋肉を鍛えて筋力を維持する効果があります。
中性脂肪やLDL-コレステロールを減らす効果があります。
無理のない運動により血圧を下げる効果があります。
心肺機能を高めたり、ストレスを解消し気分転換に役立つ効果などがあります。
運動療法は有効な治療法ですが、全ての人が行えるわけではありません。運動してはいけない場合もありますし、やり方次第で運動療法がむしろ逆効果になる場合もあります。運動療法を始める前には今までの運動習慣、血糖コントロール状態、合併症の程度などに基づいて適切な運動の方法を考えなくてはいけません。
糖尿病の運動療法としては早足でのウォーキングが勧められます。100 m/分程度の速度でのウォーキングで、歩きながら隣の人と話しができる程度のきついとは感じない運動です。運動の強さは最大限の運動の50 %前後の強度が適切ですが運動習慣のない人は40 %くらいの強度の運動から始めます。運動の強さは運動中の脈拍数から類推することができます。例えば運動強度を50 %としたい時の目標脈拍数は{(220-年齢) – 安静時心拍数}x 0.5 + 安静時心拍数(カルボーネンの式)で求められます。運動中の脈拍がこれより多い時は運動の強さを落とします。目標心拍数になるようなウォーキングを20〜30分すると約100 kcalが消費されます。できれば1日2回、週に3日以上運動します。運動の前後にはウォーミングアップとクーリングダウンを忘れないで下さい。
夏は涼しい時間、冬は暖かい時間に運動するとよいのですが、食事前の空腹の時や食事直後の1時間の運動は避けて下さい。特に経口糖尿病薬やインスリンで治療している人では低血糖の起こりやすい時間を避けて運動しましょう。また、低血糖に備えて砂糖などを準備しておきましょう。運動の前には十分に水分を補給して運動中に脱水にならないように気を付けて下さい。また、服や靴は運動しやすいものを選びましょう。
脈拍数 |
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15秒間 |
1分間 |
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