野口病院旧管理棟は,1922年初代院長の野口雄三郎が野口病院を開設する際に建築された建物で,1970年までは本館として用いられていました。1986年に建築当時と同じ工法・材料を用いて修復がなされ,その後2013年に青山町へ移転するまでは管理棟として使用されてきました。
開設当時の野口病院(1922年頃)と現在の姿(2023年)
とんがり帽子の赤い屋根をシンボルとしたシックな外観を特徴とするこの建物は,1996年に国の登録有形文化財(建造物)に登録されました。
登録有形文化財(建造物)の登録基準は,「建設後50年を経過している」もので,かつ「国土の歴史的景観に寄与している」「造形の規範となっている」「再現することが容易でない」という三つの条件のうち,いずれかに当てはまるものとされています。登録物件には都道府県ごとに通し番号が振られ,番号を記したプレートが文化庁から授与されます。
文化庁が運営する文化遺産オンラインでは,野口病院(旧)管理棟について次のように解説されています。
東側に尖塔屋根を軸とする左右対称のファサードを持ち,背面に2列に棟が伸び,中庭を囲む構成をとる。グレーのモルタルススペイン壁の上部に白漆喰のハーフティンバーがのる外壁に特徴があり,まちなみ景観のシンボルとして親しまれている。
ファサード:建物を正面から見たときの外観のことで,フランス語に由来する
ハーフティンバー:柱や梁(はり)などの骨組みを外にむき出しにし,その間に煉瓦や土,石を壁とする西洋木造建築の様式
スペイン壁:外壁の塗装方法「スタッコ仕上げ」のことで,石灰と水,セメント,砂などを混ぜてドロっとした状態でモルタル外壁に塗り上げる
現在は内部に入ることはできませんが,外観を見学していただくことは可能です。
前述した登録有形文化財のプレートは建物の東側に掲出していますので,建物を見学される際にご覧になってみてください。
別府市内には他にも近代化遺産がたくさん保存されており,この野口病院旧管理棟は別府市公式観光情報Webサイト別府たびで観光スポットのひとつとして紹介されています。
建設中の野口病院(1921-22年頃)
玄関横で撮影された写真(矢印の人物が初代院長野口雄三郎)
(野口病院広報委員会)