内分泌疾患専門病院
甲状腺・副甲状腺疾患、糖尿病などの生活習慣病 Facebookページへ Twitterへ

超音波検査

体外から超音波(人間には聞こえない波長の短い音波)をあて、その反射音(エコー)をコンピュータ処理し臓器や組織の様子を調べます。甲状腺やリンパ節の腫大などの頚部病変の有無、それらの位置、大きさ、形、数等が判ります。検査は5分から10分で終わります。超音波検査は痛みもなく身体に無害です。

検査の目的と判ること

甲状腺の大きさの測定
    甲状腺の大きさの縮小程度から薬剤の治療効果を判断したり、放射性ヨウ素治療時の投与量を決定したりします。実際には甲状腺の縦 ・横 ・厚さを測定して体積を計算します。甲状腺全体を正確に観察するため首の上に130×120×10mmの四角い寒天のようなひやっとするもの(カプラーといいます)を置きます。

腫瘍ができていないか

顎の下から首全体を検索でき、腫瘍の位置、大きさ、数を調べます。およそ3mm程度の触診では判らない小さな病変も検出できます。定期的に計測することにより腫瘍の大きさの変化を知ることもできます。

腫瘍が良性か悪性かの診断

腫瘍の形や内部の特徴から診断します。5mm以上の腫瘍であれば悪性か良性かの診断も可能です。超音波検査での診断と、手術で摘出した病変部分を顕微鏡で調べる病理組織診断との一致率は、85%です。

血流速度測定

血流が多いか少ないかが判ります。それにより病変部分の活動性(ホルモン産生能)の指標になる可能性があります。

リンパ節の検出

炎症で腫れたリンパ節や、リンパ節への転移がないか調べます。

腫大した副甲状腺の検索

高カルシウム血症の原因となる腫大した副甲状腺(副甲状腺機能亢進症)を探します。正常な副甲状腺は米粒大で、超音波では検出できませんが腫大したものはおよそ70%の確率で検出できます。
 超音波ガイド下穿刺吸引細胞診
 超音波画像で見ながら細胞を採取し細胞診検査をします。

検査の受け方と注意事項

  1. 頚部(顎から下の首全体)の広い範囲を見ますので、首の詰まっている服装(タートルネックやハイネック)はなるべく避けるようにしてください。またネクタイやネックレス、スカーフは検査の前に外しておいてください
  2. 超音波エコー画像を見やすくするため、部屋を暗くしています。足元に気をつけてお入りください。患者さんは検査用の椅子(床屋さんの椅子)に座ります。このときおしりは一番奥まで詰め、首を後方に反らした姿勢をとってください。首が伸びすぎて苦しかったり、首の怪我や頚椎の損傷がある場合はあらかじめお知らせください。
  3. 超音波探触子(プローブ)を首に当てて検査を行います。首とプローブを密着させるためゼリーを首に塗ります。重量測定をする方はこの上にカプラーを乗せますのでちょっとひやっとします。検査に使うゼリーは身体に害はありません。また、検査後きれいに拭きとります。検査の時間はおよそ5〜10分間です。(検査姿勢写真参照)(プローブの種類と機能を説明、写真つき)
  4. 検査はカルテをみて診察医の指示に従って行っていますが、患者さん自身が気付いたことや気になること(グリグリがある、痛みがある、大きくなってきたなど)がありましたらご遠慮なくお申し出ください。超音波検査の結果と写真は診察医にすみやかに報告します。診察室で医師から結果の説明があります。
  5. 細胞診検査がある方は、このまま引き続き検査を行います。医師が穿刺用の小さなプローブで目的の病変部を見ながら22G注射針(約0.7mm)を刺します。これは採血で使っている針と同じ大きさのものです。最初はチクッとしますが麻酔なしでも我慢できる程度の痛みです。画像で針先の位置を確認しながら行ないますので、目的の部位から細胞を採取することができます。採取した細胞はすぐに病理検査室に運ばれます。詳しくは細胞診検査の説明をご覧ください。注射針を刺した部分にはバンソウ膏を貼ります。その上から5分間しっかりと押さえてください。後はバンソウ膏を剥がしてもかまいません。当日夕方にはお風呂に入っても結構です。
  6. 細胞診検査をした後に、ごく希に甲状腺が腫れることがあります。腫れてきた、気分が悪くなった、痛みが持続している等の場合は遠慮無くお知らせください。
  7. ワーファリンを服用されている方もこの検査を受けることができますが、検査の前にお申し出ください。

超音波検査の特徴

1990年代の超音波制御や画像処理技術の革新により、小さな病変、深部(体表から遠く超音波の届きにくい)の病変、それらの微細な形状、ドプラ効果を応用した血流量の状態などが、短時間に描出できるようになりました。情報量が多いので頚部(顎から首全体)の疾患の診断にはなくてはならない検査です。体に害を及ぼさないので繰り返し検査することができます。医療分野では頚部だけでなく心臓、腹部、産婦人科領域などで広く超音波検査が行なわれています。野口病院では、医師、日本超音波医学会認定超音波検査士、臨床検査技師が分担し、頚部専用の超音波診断装置(3台)を使って超音波検査を行なっています。

16-1