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弊院から発表の主な日本語文献2007.2.1更新
野口病院
874-0932 大分県別府市野口中町 6-33
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外科 Vol.69 No.2 (2007-2): 205-210
甲状腺癌の術前・術中診断と術式選択
野口志郎*1*1 野口病院 院長
1970〜1999年に経験した乳頭癌について,経験と私見を述べた.この間に甲状腺癌の診断は触診が主な手段から超音波診断,さらに少し遅れて 穿刺吸引細胞診が超音波画像を保管する物として急速に進歩した.また,CT,MRI,超音波診断装置の発達などによって周囲臓器の合併切除なども 術前に計画して行うことが可能になった.近年,微小癌の占める頻度が著しく高くなったが,一方では根治手術が不可能な症例の割合はあまり変わって いない.

手術 第60巻 第10号 別冊, (平成18年9月15日発行): 1407-1411
甲状腺乳頭癌の手術の変遷
野口志郎*1*1 野口病院外科
多くの外科的治療法は内視鏡手術,画像診断,術前の薬物療法などの影響で10年,20年,30年前とは手術手技が随分異なっているものが多いが, こと甲状腺については手術手技そのものにはあまり変化がない。しかし,図1に示すように症例数は増加している。そのおもな理由は, 触診ではわからなかったような小さな甲状腺腫瘤が,超音波による総頸動脈のアテローム検査や乳癌検診のときに頸部もついでに調べるなどして みつかることが多くなったからである。
ごく最近では,いわゆる微小癌が乳頭癌の50%以上を占めるようになっている(図2)。年齢分布は我が国人口の少子高齢化を反映して図3に 示すように高齢に傾いているが,正確に数字で示すと,1965〜1974年の手術時年齢のmedianとmean±SD(以下すべて同じ)は41.0,41.3±13.6, 1975〜1985年は45.0,44.5±13.7,1985〜1994年は50.0,48.4±13.5,1995〜2004年は53.0,52.0±14.0と40年間にmedienでは12歳高齢化 していることが分かる。本稿ではすべてのまれな甲状腺分化癌について記載する余裕がないので,乳頭癌についてのみ記載する。

ホルモンと臨床 Vol.54 増刊号, (2006): 138-142
家族性副甲状腺機能亢進症2家系におけるHRPT2遺伝子変異の解析
吉本勝彦*1、水沢典子*1、岩田武雄*1、長尾大輔*2、 Hossain Md.Golam*1、露口 勝*4、佐野 籌昭*3、内野 眞也*5
*1 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部分子薬理学分野
*2 同 口腔顎顔面補綴学分野
*3 同 人体病理学分野
*4 徳島市民病院外科
*5 野口病院外科
原発性副甲状腺機能亢進症のほとんどは散発性に認められるが,稀に多発性内分泌腫瘍症(multiple endocrine neoplasia,MEN)1型・2A型, 顎腫瘍を伴う遺伝性副甲状腺機能亢進症(hyper-parathyroidism-jaw tumor syndrome,HPT-JT),家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症 (familial hypocalciuric hypercalcemia,FHH),家族性孤立性副甲状腺機能亢進症(familial isolated hyperparathyroidism,FIHP)などの遺伝性疾患の一部を形成することがある.
HPT-JTは副甲状腺腫瘍と顎腫瘍の組み合わせで腫瘍性病変を生じる疾患であり,常染色体優性遺伝の形式をとる. HPT-JTにおいては,副甲状腺腫瘍のうち約15%に副甲状腺癌を合併する.また,30%の患者の上顎あるいは下顎に骨形成性あるいはセメント質骨形成性線維腫を合併する. その他に腎嚢胞(10%)やウイルムス腫瘍,子宮の腫瘍を伴うことが報告されている.HPT-JTの原因遺伝子は,2002年に1q25-q31に位置するHRPT2であることが発見された.これまでに,HPT-JT家系の約半数において,HRPT2の不活性化を伴う胚細胞変異が見いだされている. またHRPT2の遺伝子産物であるparafibrominはほとんどの組織で発現していること,RNAの転写に必要なPaf1複合体の構成成分であることが報告されている.
本稿においては臨床的にFIHPと診断された1家系とHPT-JTの1家系についてHRPT2の遺伝子解析を報告する.

外科治療 Vol.95,No1, 2006/7: 109-115
甲状腺分化癌の診断・治療と予後
医療法人 野口病院院長 野口 志郎
甲状腺乳頭癌の診断は超音波診断と穿刺吸引細胞診で著しく進歩し,今では乳頭癌のおよそ半分が微小癌となったが, 濾胞癌については進歩がほとんど見られない.乳頭癌の甲状腺切除範囲は米国でも非常に議論があるが,範囲を大きくしても 予後には影響がないとの報告が増加している.予後因子は原発巣の大きさ,手術時の患者の年齢,原発巣が甲状腺被膜を貫いていること, 手術時にわかる肉眼的リンパ節転移の存在であると考えられる.

内分泌外科 2006年,第23巻, 第2号, 2006年6月: 83-87
甲状腺・副甲状腺疾患の画像診断
甲状腺疾患におけるCT,MRI像
野口病院 放射線科 野口 靖志

日本病院会雑誌 Vol.53 No.8 2006 平成18年8月号別冊: 117
銷夏随筆「私の甲状腺とのかかわり」
野口病院 院長 野口 志郎

臨床外科 第68巻, 第7号, 2006年7月別冊: 783-788
遺伝性・家族性甲状腺・副甲状腺診療における最近の諸問題
--非髄様癌の遺伝から多発性内分泌腫瘍症まで--
内野 眞也*、野口 志郎*
*別府 野口記念会 野口病院 外科
近年の分子内分泌学の成果として,多発性内分泌腺腫1型と2型の原因遺伝子発見があげられる. これらの遺伝子診断が可能となったという新たな時代を迎えた.また近年の臨床病理学知見の積み重ねにより, 家族性非髄様甲状腺癌の病態が明らかとなりつつある.しかし,一方では,原因遺伝子が解明されたものでは, 遺伝子診断にかかわる諸問題も生み出すこととなり,甲状腺・副甲状腺腫瘍に関する遺伝性・家族性腫瘍の診療において 無視できない問題となってきた.

臨床外科 第61巻, 第5号, 2006年: 565-571
甲状腺手術のための臨床局所解剖
内野 眞也*、野口 志郎*
*別府 野口記念会 野口病院 外科
頸部は甲状腺,気管,喉頭,食道,咽頭が存在し,主要な動静脈や神経がごく限られた領域にコンパクトに集中して存在している領域である. したがって,外科医が甲状腺手術に臨む際は,甲状腺を中心とした頸部解剖を熟知しておく必要がある.甲状腺手術後の主な合併症である 反回神経麻痺や副甲状腺機能低下症や乳び瘻などは,頸部解剖の熟知によってかなり減らすことができる.実際に,熟練した甲状腺外科医は そうでない外科医に比べて術後合併症を引き起こす割合ははるかに低い.本稿では,甲状腺手術の際に熟知しておかねばならない局所解剖の キーポイントについて解説した.

医学と薬学, 55 : 459-466, 2006.
新規血中酒石酸フォスファターゼ骨型アイソザイム(TRACP-5b)測定キットオステオリンクス
TRAP-5bの臨床的検討−原発性副甲状腺機能亢進症における検討

山下 弘幸*、猪俣 啓子*、野口 志郎*、西沢 良記
*別府 野口病院

ホルモンと臨床, 53(12) : 1281-1285, 2005.
内分泌代謝疾患の診療に必要なインフォームド・コンセントの知識-多発性内分泌腺腫症(MEN)
内野 眞也

医学と薬学, 54(5) : 709-717, 2005.
新規に開発された血中骨型特異的酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ(TRACP-5b)測定の検討
西沢 良記、稲葉 雅章、石井 光一、山下 弘幸*、三木 隆己、後藤 仁志、山田 真介、茶木 修、倉澤 健太郎、望月 善子
*別府 野口病院

癌と化学療法, 32(7) : 954-956, 2005.
遺伝診療-医療施設におけるレジストラーの必要性-
首藤茂、内野眞也、野口志郎
当院では常時、家族性甲状腺疾患家系の調査・登録を実施している。13,000人以上の調査の結果、約30%の甲状腺疾患患者の血縁者に同様の疾患がみられる傾向があることがわかった。そこで、専門職としてレジストラーをおいて家族性疾患の臨床と研究に力を入れ、家族性非髄様癌甲状腺癌(FNMTC)258家系の解析から臨床的特徴が明らかとなってきた。FNMTC家系の血縁者の甲状腺超音波スクリーニングでは無症状の第1度近親者149例に対して甲状腺超音波スクリーニングを実施した結果、15例(10.1%)に臨床癌としての甲状腺癌を新たに発見し手術を行った。ここでは、レジストラーの広範囲な役割・必要性について報告する。

内分泌・糖尿病科 第18巻 第2号 別冊
高Ca血症性クライシスを契機に発見された甲状腺腫と微小乳頭癌を合併した副甲状腺癌の一例
加来 良夫**、佐々木 悠**、山下 弘幸***、二宮 寛**、二田 哲博****、野口 志郎***
** 福岡大学筑紫病院内分泌・糖尿病内科、*** 別府市野口病院、**** 二田哲博クリニック
副甲状腺機能亢進症(pHPT)を呈する病歴の中でも副甲状腺癌の占める割合は0.32〜5%と稀であり、術者の質的診断は困難なことが少なくない。著者らは、"副甲状腺クライシス"、あるいは"急性甲状腺機能亢進症(acute primary hyperparathyroidism)"とも挙証される病態を契機に発見された副甲状腺癌の一例を経験した。

日本外科学会雑誌 第106巻 第8号 別冊
原発性上皮小体機能亢進症の診断と治療の最近の動向
山下 弘幸、野口 志郎
原発性副甲状腺機能亢進症(pHPT)に対して、最近では calcimimetic の内服、エタノールの局所注入などが試験的に行われているが、 確実な治療法は外科的切除である。術前の画像診断や術中の補助手段の進歩により、手術治癒率が高くなっているが、副甲状腺は過剰腺や 異所性腺の存在、腺腫だけでなく過形成、癌などの解剖・病理学多様性のために手術が困難な症例もある。以前は、両側形部を検索し4腺を 確認し、病態に応じた手術をすることを提唱する内分泌外科医が多かったが、最近では、片側あるいは1腺のみの縮小手術が一般化している。 pHPTの約80-85%の症例は単一腺の疾患なので、理論的にはかなりの症例が縮小手術の対象となり、内視鏡下あるいは小切開下の手術や補助手段 (Quick PTH assay, Redio-guided あるいは両方)の有無の組み合わせにより複数の選択が可能となっている。

内分泌外科 第22巻 第2号 2005年6月:73-78
家族性甲状腺癌−臨床的側面から
内野眞也、野口志郎
家族性甲状腺癌は髄様癌と非髄様癌に分けて考える。髄様癌では多発性内分泌腫瘍症2型の一徴候として、あるいはFMTC(familial medullary thyroid carcinoma)として発症する。これに対して、家族性非髄様癌で症候性のものは、家族性大腸ポリポーシス(FAP)、Cowden病、Werner症候群、Carny complex、PeutzJegher症候群などが知られている。その他の非髄様甲状腺癌のみが家族性に発生し、その他の疾患を伴わない非症候性の場合、便宜上FNMTC(familial nonmedullary thyroid carcinoma)と総称して呼んでいる。ここでは症候性の中でも、最近もっとも注目されているFAPに合併する甲状腺乳頭癌と非症候性のFNMTCについて述べる。

家族性腫瘍 第5巻 第1号 2005年:18-21
レジストラーの立場から
首藤茂、内野眞也、野口志郎
当院では1922年の創立以来、甲状腺・副甲状腺疾患の治療と研究にあたっており、家族性疾患家系の調査・登録によって、患者の血縁者に同様の疾患が特に多くみられる傾向があることがわかった。そこで、専門職としてレジストラーをおいて家族性疾患の臨床と研究に力を入れることとなった。一般にレジストラーとは、家族性疾患に携わるスタッフの中で調査や登録の担当者を指すものである。当院でのレジストラーの主な役割は、当該患者に関する重要な家系情報を拾い出し、対象となりうる患者に対し家系の詳細な聴取からフォローアップに至るまで広範囲である。その過程の中で、患者よりレジストラーに対して様々な質問・不安や相談等への対応を行っており、こういったストレスを受けとめることにより、患者の診療や遺伝カウンセリングなどの次の段階に良い影響を及ぼすようにすることも重要な責務となっている。また、昨今世間で問題となっている遺伝情報の管理・保護、情報漏洩防止、匿名化作業の実施等、遺伝子検査の倫理問題に対する対応を医師・レジストラーと共同して行っていくことによりしっかりと管理・運営できると考えている。これらレジストラーの役割・必要性について報告する。

家族性腫瘍 第5巻 第2号 2005年:95-97
MEN患者家族の相互交流・相互支援のためのニューズレター発行
櫻井 晃洋1)、内野眞也2)
1)信州大学医学部社会予防医学講座遺伝医学分野、2)野口病院 外科
家族性腫瘍ではいくつかの疾患で患者会組織が作られ、お互いの交流や情報交換を行っている。MENではこうした患者同士が交流する窓口や機会なかったため、われわれは医師、患者を交えた数人でMEN患者。家族向けのニューズレターを作成することを企画し、一昨年から主にインターネットを通じて配信する方法で情報発信を開始した。内容としては医療サイドからは疾患に関する質問への回答や学会報告、最新の医療に関する情報などを提供している。発刊後1年以上を経過し、これまでの活動が患者・家族のニーズにどの程度応えていたか、また今後どのような形で活動することが患者・家族にとって有益となるかについて検討する時期になっている。

腎と骨代謝 Vol.18 No.2 2005年:137-142
甲状腺、副甲状腺疾患におけるFGF-23の役割
山下弘幸
血清リン(Pi)の調節に重要と考えられるホルモン様因子である線維芽細胞増殖因子(FGF-23)が同定され、血中濃度測定が可能となった。甲状腺・副甲状腺疾患でのFGF-23のPi調節における役割について調べた。バセドウ病患者を低Pi、正常Pi、高Pi血症の3群にわけると、高Pi症例の血清FGF-23濃度は、中Piあるいは低Pi症例に比較して有意に高かった。甲状腺術後の副甲状腺機能低下では、血清カルシウム(Ca)低下とPi, FGF-23の上昇が生じた。副甲状腺機能の回復により、血清Ca, Pi, FGF-23の正常化が観察された。原発性副甲状腺機能亢進症では低Piをきたすが、予想に反してFGF-23は抑制されておらず、むしろコントロール群に比べて高かった。FGF-23が活性型ビタミンDの産生と腎でのPi再吸収を抑制する作用を考えると、高Piへの生体防御機構として働いている可能性が高いと考える。

最新医学 別冊 新しい診断と治療のABC 25/内分泌2,2004年:240-246
バセドウ病の外科療法・選択基準
山下弘幸
抗甲状腺剤で副作用症例、腫瘍の合併例、内科的治療の難治例、患者が短期間での治療を希望する場合を手術適応としている。抗甲状腺剤の投与で甲状腺機能を正常化させた後に手術を行う。バセドウ病の手術についての考え方は、甲状腺全摘あるいは準全摘を行い術後甲状腺機能低下を目指すか、あるいは機能正常化を目指すかの二通りがある。患者に十分な情報を提供し、Informed consentを得て手術法を決定することが望ましい。

ホルモンと臨床 第52巻,増刊号「内分泌病理学最近の進歩2004」,2004年:7-14
甲状腺濾胞癌の病理学的悪性度と臨床予後:濾胞癌の遠隔転移の危険因子としてのinsular癌
山下裕人1)、野口靖志2)、野口志郎3)、山下弘幸4)、内野眞也4)、渡辺紳4)、小川尚洋4)、村上司5)
1)野口病院研究検査科、2)同放射線科、3)同院長、4)同外科、5)同内科
甲状腺濾胞上皮由来の分化癌(濾胞癌と乳頭癌)は一般に予後のよい癌として知られている。しかし、患者の8%から20%は、この癌によって死亡する。濾胞癌と乳頭癌を比較すると、濾胞癌の予後がより悪い。濾胞癌の死因は遠隔転移であり、遠隔転移の部位は骨、肺がほとんどである。遠隔転移を起こす危険因子として脈管浸潤、甲状腺外への浸潤、高齢(45歳以上)が報告されていた。しかし、最近ではinsular像のある癌がinsular像のない癌より遠隔転移を起こしやすいことが報告されている。insular像は1984年にCarcangiuらによって報告されたinsular carcinomaに特徴的とされる組織像であり腫瘍細胞が島状のかたまり(insulae)を形成し、その島のなかに不定数の小型の濾胞が認められる。insular癌は分化癌と未分化癌との中間的な生物学的なふるまいを示すことも知られている。このinsular像も含めて、我々は14の因子をとりあげて、それらが遠隔転移の危険因子となりうるかどうかを検討した。

医学検査 第53巻, 第5号, 2004年: 756-60
2種類のサイログロブリン測定法で乖離を示した検体の検索
猪俣啓子1)、山本晶子1)、足立光男1)、山下裕人2)、野口志郎3)
1)野口病院研究検査科、2)同病理、3)同外科
サイログロブリン(Tg)は、甲状腺のみで作られる分子量約66万の糖タンパクで、甲状腺ホルモンの合成、貯蔵および分泌に重要な役割を果たしている。Tgはその高い臓器特異性から、種々の甲状腺疾患のマーカーとして利用されるとともに、甲状腺分化癌の転移の診断や再発の指標としての有用性も報告されている。Tgの測定法には多種の原理に基づくものがあり、それぞれの試薬に用いられている抗体もさまざまである。そのため複数の測定法を用いて比較検討を行うと、しばしば測定値の乖離を経験することがある。今回われわれは、non-RIAで、測定原理および使用抗体の異なる2種類のTg測定試薬による測定値の比較を行うとともに、両測定方法間で乖離のみられた検体について検索を試みたので報告する。

臨床外科 第59巻, 第4号, 2004年: 409-12
甲状腺濾胞癌の治療法と予後因子
野口志郎

ホルモンと臨床 第52巻, 第3号, 2004年: 267-70
家族性大腸ポリポーシス(FAP)に合併する甲状腺乳頭癌
内野眞也、野口志郎
家族性大腸ポリポーシス(FAP)は大腸の多発性ポリープ(腺腫)を主徴とする常染色体優性遺伝疾患である。多くの場合は、ポリープが数百以上みられるが、ポリープ密度が低いもの(attenuated type)も存在する。発生頻度は1万人から2万人に1人と推定されている。原因遺伝子は染色体5q21上に存在する癌抑制遺伝子APCである。ほとんどすべての症例で、20歳頃までに大腸ポリープが発生する。大腸癌に罹患する危険率は高率で、40歳以上では50%が大腸癌に罹患し、60歳までに90%罹患する。大腸以外の病変としては、デスモイド腫瘍、胃・十二指腸ポリープ・癌、先天性網膜色素上皮肥大(CHRPE)、甲状腺癌、外骨腫(Gardner)などが知られている。

手術 第57巻, 第12号, 2004年: 1513-6
頚部からの内視鏡補助下甲状腺手術
山下弘幸、渡辺紳、内野眞也、小川尚洋、野口志郎
甲状腺の手術では反回神経麻痺や副甲状腺機能低下症を未然に防ぐだけでなく、手術創が頚部であることより、美容的な配置も重要な要素である。内視鏡手術は、最近では胸腹部だけでなく、甲状腺・副甲状腺疾患の手術にも応用されており、多施設からさまざまな手術手技が報告されている。内視鏡下手術では、(1)低侵襲、(2)美容的、(3)安全性、(4)コンベンショナルと同様な手術ができる、の条件を満たす必要がある。我々は、清水らあるいは池田ららのアプローチ法で内視鏡下甲状腺・副甲状腺手術を開始したが、現在は顎下部からのアプローチ法を採用している。顎下部からのアプローチは上記の条件のすべてを満たすと考えている。顎下部からのアプローチ法で現在までに50例以上を経験したので、手術手技を中心について述べる。

医学と薬学 第51巻,第1号,2004年:187-96
全自動電気化学発光免疫測定装置「モジュラーアナリティクス<EE>」による「エクルーシス試薬FT3II」の基礎的検討、および甲状腺関連項目の臨床的検討
猪俣啓子1)、山本晶子1)、幸下美沙紀1)、足立光男1)、山下裕人2)、村上司3)、野口志郎4)
1)野口病院研究検査科、2)同病理、3)同内科、4)同外科
甲状腺疾患の診断には、理学的所見の把握に加え、甲状腺ホルモン(遊離T3(FT3)、遊離T4(FT4))や甲状腺刺激ホルモン(TSH)の測定が必要不可欠である。これらの甲状腺関連ホルモンはradioimmunoassay(RIA)による測定が主流であったが、1970年代に開発されたenzyme immunoassay(EIA)による測定法が確立されたことにより、甲状腺関連ホルモン測定系もnon-RIAへと移行し、蛍光物質を用いたfluorescence immunoassay(FIA)や、化学発光物質を用いたchemiluminescence immunoassay(CLIA)など、non-RIAによる測定法が普及してきた。これにより甲状腺関連ホルモン測定の自動化が著しく発展し、簡便で精度の良い分析が可能となった。今回われわれは、electrochemiluminescence immunoassay(ECLIA)を測定原理とするFT3測定試薬「エクルーシス試薬FT3II(ロシュ・ダイアグノスティックス社)」の基礎的検討を行うとともに、甲状腺関連項目の臨床的検討を行ったので報告する。

ホルモンと臨床 第51巻,増刊号「内分泌病理学最近の進歩2003」,2003年:119-26
臨床的に家族性低カルシウム尿症高カルシウ症(familiar hypocalciuric hypercalcemia, FHH)と考えられた症例の臨床病理像
山下裕人、野口志郎、山下弘幸、内野眞也、渡辺紳、村上司、津野亜紀子、荒木正登、首藤茂、丸田淳子、岩見奈緒、橋本裕信、菅啓子、原田浩子、馬場英敏、足立光男
家族性低カルシウム尿症高カルシウム血症(familiar hypocalciuric hypercalcemia, 以下FHH)とは常染色体優性遺伝で、軽度の高カルシウム(Ca)血症(通常12 mg/dl 未満)、正―高PTH血症、高Ca尿の欠如を示し、高Ca血症は副甲状腺を摘除されても是正されないという特徴をもつ疾患であり、いわば、血中Caの正常値が通常の正常値よりも高めに設定されている状態である。1993年にcloningされたCalcium sensing receptor (CASR)の不活性型変異が原因であるとされている。しかし、CASR遺伝子に不活性型変異があってもFHHの病態を示さない例やCASR遺伝子に変異のない患者、新しい遺伝子変異がみつかった患者もしられているしたがって、FHHの診断は臨床的になされる。臨床的に診断される場合は、原発性副甲状腺機能亢進症(primary hyperpara thyroidism,以下PHPT)との鑑別が問題であるが、両者の鑑別点として尿中calcium排泄濃度があげられ、FHHではfractional excretion of Ca (FECa)が1%以下とされている。我々はPHPT)として副甲状腺を摘除された症例のなかから、その後の経過より臨床的にFHHと考えられた症例3例をみいだした。また、臨床的にFHHと診断されていた症例で、甲状腺手術時に偶然副甲状腺を1腺摘出された症例を1例見出した。これらの症例の臨床病理像を報告する。

手術 第57巻,2003年:1269-72
巨大甲状腺腫のバセドウ病-手術の経験
山下弘幸、渡辺紳、内野眞也、小川尚洋、宮竹英志、野口志郎
Basedow病に対する手術療法は治療の選択肢の一つであるが、甲状腺腫の大きさや術前の甲状腺ホルモンの状態により、手術の難易度も違い、術中の出血量や術後テタニーや反回神経麻痺などの合併症の頻度に影響を及ぼす。甲状腺重量が200gを超える症例はさほど多くないが、比較的手技がむずかしくなり出血量も多くなる可能性がある。今回、推定重量が700gを超えた甲状腺腫のBasedow病の手術を経験したので、術前管理と手術の工夫につき報告する。

医学検査 第52巻,第3号,2003年
学術研究奨励賞 バイエルメディカル標識免疫検査賞受賞論文
甲状腺ホルモン測定における異常反応の検索
猪俣啓子、山本晶子、山岡美穂、足立光男、山下裕人*、野口志郎**
野口病院研究検査科、同研究検査部長*、同院長**
ウシGamma-グロブリン(BGG)に対する異好抗体の存在により,1ステップCLEIAおよび2ステップCLIAでのFT3,FT4測定値が異なる症例を経験した。症例は69歳の橋本病患者で,CLEIAでFT3:5.4pg/ml(基準値2.2 〜4.3),FT4:3.1ng/dl(0.8〜1.5),TSH:32.54 Micro IU/ml(0.67〜4.28),CLIAではFT3:2.3pg/ml(1.7〜3.7),FT4:0.7ng/dl(0.7〜1.5),TSH:20.00 Micro IU/ml(0.35〜4.94)であった。本症例検体は,抗T3自己抗体,抗T4自己抗体がいずれも陰性,ポリエチレングリコール処理後のFT3,FT4測定値は,対照検体に比べて著しく低下していた。またマウス血清,ウサギ血清添加による影響は見られなかったが,ウシ血清添加後,BGG添加後のFT3,FT4測定値は有意に低下していた。1ステップCLEIAでは,試薬中の抗原とフェライト粒子の架橋にBGGを使用しており,そのために患者血清中の異好抗体の干渉を受けたものと考えられる。

内分泌外科標準手術アトラス
手術適応と手術術式の選択 バセドウ病
野口志郎

医学と薬学 第49巻,第6号,2003年:1005-9
原発性副甲状腺機能亢進症における血清NTxの検討
山下弘幸、猪俣啓子*、村上司、内野眞也、渡辺紳、小川尚洋、 山下裕人**、野口志郎
野口病院 外科、同検査科*、同病理**
骨代謝マーカーは、骨形成や骨吸収の過程で産生される骨組織や細胞由来の物質で、骨形成マーカーと骨吸収マーカーに大別できる 。I型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTx)は、ヒトの尿中より見出されたヒトの骨に特異的なI型コラーゲン由来の分解産物である。NTxは骨吸収の際に骨I型コラーゲンの分解により産生され、血中に放出された後に尿中に排出される1)。尿中NTxは各種の臨床的有用性が報告されており2)-5)、国内では尿中NTx測定試薬(商品名:オステオマーク)が、骨そしょう症、副甲状腺機能亢進症や悪性腫瘍の骨転移などに保険適応が認められている。尿中NTx測定にはクレアチニン補正が必要であり、腎機能がかなり低下した場合の評価、日内変動が比較的大きいなどの問題があり、血清NTx測定試薬の開発が望まれていた。最近、尿中のNTx濃度の約1/20である血清の高感度の測定試薬が開発され、血清NTxの臨床使用が可能となった6)。骨そしょう症患者の治療前後において、血清NTxは尿中NTxと臨床的相関が高いことが報告されているが、原発性副甲状腺機能亢進症患者においてのまとまった報告はない。今回、原発性副甲状腺機能亢進症患者における血中NTxを測定し、尿中NTxや他の骨代謝マーカーとの比較、臨床検査パラメータとの関連につき検討したので報告する。

日本内視鏡外科学会雑誌 第8巻,第3号,2003年
頸部アプロ−チによる内視鏡補助下甲状腺片葉切除術
山下弘幸、小川尚洋、野口志郎
甲状腺の手術では反回神経麻痺や副甲状腺機能低下症を未然に防ぐだけでなく、手術創が頸部であることより、整容的な配慮も重要な要素である。内視鏡下手術は、最近では胸腹部だけでなく、甲状腺・副甲状腺疾患の手術にも応用されており、多施設から様々な手術手技が報告されている。われわれは、ShimizuらあるいはIkedaららのアプロ−チ法で内視鏡下甲状腺・副甲状腺手術を開始したが、2000年6月より顎下部からのアプロ−チ法を採用している。頸部外からのアプロ-チでは片葉切除の際に、症例によってはBerry靱帯周辺部の処理が困難なため、反回神経麻痺を危惧しなければならないが、われわれのアプローチ法では、頸部を屈曲させ創をずらすことによって、Berry靱帯部を直視下に処理が可能である。われわれは、現在までに50例以上の顎下部からのアプローチ法を経験した。本稿では、その手術手技について述べ、さらに頸部からのほかのアプロ−チ法と比較検討する。

新しい透析骨症 2003年7月刊
副甲状腺インタ−ベンション(2)外科的副甲状腺摘除術
c. 術中PTH測定の意義

山下弘幸

内分泌外科標準手術アトラス 2003年5月刊
内視鏡(補助)下手術ー頚部アプロ−チ
山下弘幸
甲状腺の手術では反回神経麻痺や副甲状腺機能低下症を未然に防ぐだけでなく、手術創が頸部であることより、美容的な配慮も重要な要素である。内視鏡手術は、最近では胸腹部だけでなく、甲状腺・副甲状腺疾患の手術にも応用されており、多施設から様々な手術手技が報告されている。我々は、清水らあるいは高見ららのアプロ−チ法で内視鏡下甲状腺・副甲状腺手術を開始したが、現在は顎下部からのアプロ−チ法を採用している。頸部外からのアプロ-チでは片葉切除が必要な際に、症例によってはBerry靱帯周辺部の処理が困難で反回神経麻痺を危惧しなければならない。顎下部からのアプロ−チでは、頸部を屈曲させ創をずらすことによりBerry靱帯部を直視下に処理が可能である。このアプロ−チ法で現在まで50例以上を経験したので手術手技を中心について述べる。

外科治療 第88巻,第1号, 2003
甲状腺・副甲状腺疾患に対する遺伝子診断システム
内野眞也
内分泌疾患、とりわけ甲状腺疾患においては、患者の家系内血縁者に甲状腺疾患がみられる場合に多く遭遇する。当院の1997-2001年の調査では、新規甲状腺疾患入院患者約8千名のうちの約29.6%に、少なくとも1人の血縁者がなんらかの甲状腺疾患で過去に加療を行っていた。

日本臨床外科学会雑誌 第63巻,第10号, 2002:2353-7
異所性副甲状腺腫による原発性副甲状腺機能亢進症19例の検討
政次俊宏 山下弘幸 村上司* 渡辺紳 内野眞也 山下裕人** 野口志郎
野口病院外科、*同内科、**同病理
1990年2月より2002年3月までに当院で原発性副甲状腺機能亢進症の手術をうけ、異所性副甲状腺腫であった19例について、術前部位診断と手術所見を検討した。年齢は60.4 +/- 10.8歳(43-77歳)。性別は女性17例、男性2例。部位は、甲状腺内11例(57.9%)、縦隔内5例(26.3%)、咽頭・食道背側2例(10.5%)、気管と甲状腺の間1例(5.3%)であった。縦隔例は1例のみ胸骨切開を要した。病的腺検出率は頚部超音波検査で21.4%、99mTc-MIBIシンチグラムで50.0%、頚・胸部CTは33.3%、頚部MRIは40.0%、Tl-Tcシンチグラムは14.3%。内頚静脈サンプリングによる病変側検出率は66.7%であった。異所性副甲状腺を見逃さないためには術前部位診断と発生をふまえた解剖を熟知した術中の丁寧な検索が重要である。

日本臨床外科学会雑誌 第63巻,第9号,2002:2093-7
甲状腺濾胞癌の初回治療時における微小遠隔転移巣の検索
古賀 裕、山下弘幸、政次俊宏、渡辺 紳、内野眞也、西井龍一、山下裕人、大島 章*、黒木祥司*、田中雅夫*、野口志郎
野口記念会 野口病院、*九州大学臨床・腫瘍外科
今回我々は、当院にて術後に濾胞癌と診断された症例について、遠隔転移及びその危険因子について検討した。2000年8月より2001年7月までに濾胞癌の診断がついた症例21名に胸部CTと骨シンチグラムを施行し遠隔転移を検索した。遠隔転移の頻度は3例(14%)で、高年齢、術前後の血清サイログロブリン(Tg)の高値が遠隔転移の有意な危険因子であった。遠隔転移例は術前の胸部X線写真で異常は認めず、骨痛その他の症状もなく、胸部CTと骨シンチグラムでのみ微小転移巣を指摘できた。遠隔転移の早期発見が放射性ヨード治療の効果を高め予後改善につながると考えられるので、年齢が65歳以上で術前後の血清Tgが高値のような遠隔転移の危険因子の高い症例では胸部CTと骨シンチグラムなどで遠隔転移の早期発見につとめなければならない。

Clnical Calcium 第12巻,第12号,2002
Whole parathyroid hormone (1-84)測定の意義
山下弘幸
従来のintactPTH測定では活性型のPTH1-84だけでなく、抑制型のPTH7-84も併せて測定していたことがわかった。生物活性を持つPTH(1-84) (wholePTH)が原発性副甲状腺機能亢進症の診断、手術時のモニターや透析患者での骨代謝指標としての有効性が報告されている。

ホルモンと臨床 第50巻 '02夏季増刊号「内分泌 興味ある症例」,2002:80-4
PDS遺伝子変異に基づくペンドレッド症候群の診断
内野眞也1)、津野亜希子1)、野口志郎1)、田尻淳一2)、石垣實弘3)、戸田雅克1)、西井龍一1)、村上 司1)、渡辺 紳1)、山下弘幸1)、首藤茂1)、福盛洋子1)
1)野口病院、2)田尻甲状腺クリニック、3)石垣甲状腺クリニック

ホルモンと臨床 第50巻,第7号,2002:737-41
甲状腺乳頭癌・濾胞癌の診断と治療
野口志郎
過去には甲状腺腫瘍の診断は触診を基本としてきたが最近では乳癌検診の際に甲状腺の超音波検査を行い、偶然発見される症例が増加してきた。ちなみに我々の施設では1946年から1964年までの症例では原発巣の平均最大径が乳頭癌では38.9mm、濾胞癌では41.1mmであったが次第に小さいものが増加して1990年から1996年の症例では22.5mm、24.6mmになっている。11%に減少している。一方微小癌(最大径10mm未満)は切除標本の検索方法の違いも関与しているが1970年までは8.8%にすぎないが1970年から84年までの症例では24.1%になり1985年から1997年には30%を占めるようになり1998年から2000年までの症例では微小癌が40%強を占めるに至っている。すなわち大きな甲状腺癌が減少し、小さなものが増加しているといえる。微小癌がなぜ手術を受けたかを調査すると90.5%は他の良性疾患との合併症であり、2.4%は臨床的に明らかなリンパ節転移があり7.1%は癌の診断がついて他の施設から手術を依頼されたものである。

医学と薬学48巻,2号,2002:243-7
Whole PTH (PTH1-84) 測定法の開発と臨床応用
山下弘幸、本宮善恢、打田和宏、秋澤忠男
副甲状腺より分泌される副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH)は84個のアミノ酸より構成されるポリペプチドホルモンで、骨・ビタミンD・カルシウムおよびリン酸の代謝調節に重要な働きを有する。PTH過剰により、原発性副甲状腺機能亢進症(primary hyperparathyroidism; pHPT)や腎不全による続発性(腎性)副甲状腺機能亢進症(secondary hyperparathyroidism; sHPT )を、不足により副甲状腺機能低下症を引き起こす。尚、最近ではカルシウム・ビタミンD不足による続発性副甲状腺機能亢進症も骨粗鬆症の一因として注目を浴びている。それらの診断にはPTH測定が不可欠である。PTHは、その大部分が84個のアミノ酸から成るintactPTHとして副甲状腺から分泌されるが、一部はN端あるいはC端などを含むPTHフラグメントの形で分泌されている。一方、末梢血においては、副甲状腺からの分泌に加えてintactPTHが肝臓や腎臓で代謝されるために、生物活性を持たない中間部およびC端フラグメントPTHなど多様なPTHフラグメントが大量に存在し、逆にintactPTHは微量にしか存在しない。PTH測定に関しては、抗体の認識部位により、C‐PTH、M‐PTH、N‐PTHなどを測定していたが診断能に問題があった。そこで、80年代に2抗体法によるintactPTH測定2が開発され、診断を含め副甲状腺ホルモン異常による病態の解明が飛躍的に進歩した。最近、intact PTH測定キットのほとんどが、PTH1-84だけでなくPTH7-84とも交差反応し、腎不全患者においては、PTH7-84が60%近くまで存在する症例があることが報告された。さらに、PTH7-84はin vitroおよびin vivoにてPTH1-84のアンタゴニストとしての作用を持つことが証明された。そこで、抗PTH(1-4)抗体を用いて生物活性を持つPTH(1-84) (wholePTH)のみを測定するIRMA法キットが米国Scantibodies社により開発された。今回我々は同キットの基礎的および臨床的検討を行ったので報告する。

ホルモンと臨床'02夏季増刊号「内分泌病理学最近の進歩」2002:157-64
臨床的に診断に苦慮したRET遺伝子変異陰性MEN2型の1例
内野眞也*1、山下裕人*1、村上司*1、山下弘幸*1、野口志郎*1、蘆田真吾*2、執印太郎*2
*1野口病院 *2高知医科大学泌尿器科

ホルモンと臨床'02夏季増刊号「内分泌病理学最近の進歩」2002:165-72
Multiple endocrine neoplasia type I(MEN1)の副甲状腺病変の臨床病理像
山下裕人、野口志郎、山下弘幸、内野眞也、渡辺紳、戸田雅克、藤平隆司、村上司、津野亜紀子、荒木正登、岩見奈緒、橋本裕信、丸田淳子、首藤茂
Multiple endocrine neoplasia type 1(MEN1)は同時性にあるいは異時性に下垂体、副甲状、内分泌膵に腺腫あるいは過形成が発生する疾患である。原因遺伝子のMEN1 geneは癌抑制遺伝子であり染色体11q13にある。MEN1 geneは約7000塩基対の領域に分散する10個のエクソンからされている。この遺伝子のエクソン2-10がcodeする蛋白はmeninとよばれ610個のアミノ酸からなっている。1) メニンは主に核内に局在するが2)、細胞分裂期には細胞質にもある。3) メニンの機能は転写因子であるJun Dと結合し、Jun Dによる転写活性を抑制すること4)、MEN1の患者のリンパ球を培養しdieoxybutaneで処理するとpremature centromere divisionが対照にくらべて多いことからDNAのintegrityを保つこと5)、Rasによる腫瘍形成を阻害すること6)等が報告されている。
 MEN1の頻度は欧米で解剖例0.25%7,8)、人口1万から10万に1人と推定されている。9)本邦では1995年までに報告された症例数は150以下であり10)まれな疾患と考えられていたが、積極的に発端者の家族を調べることにより患者数は2倍に増加したとの報告があり、患者数も欧米なみの頻度であると推定される。11)欧米における報告も本邦での報告も、遺伝子診断ではなく臨床的に診断されたものが大部分であり、今後遺伝子検査が一般化するにつれて、臨床的には発症していない症例もみいだされるようになりMEN1の頻度はさらに増加するものと考えられる。
 後述するごとく、MEN1は副甲状腺機能亢進症を示す例が多く日本の原発性副甲状腺機能亢進症初回手術例中3152例中121例(4%)がMEN1であった。12)我々も原発性副甲状腺機能亢進として治療されていた例から遺伝子検査により数例のMEN1をみいだした。ここに、その臨床病理像を報告し、再手術をさけるためには、単腺腫大による通常の原発性副甲状腺機能亢進症と考えられる症例でも術前の遺伝子検査がのぞましいことを強調したい。

検査と技術 第30巻,第2号,2002年
インタクトPTHの測定法
猪俣啓子、山下弘幸、山下裕人、野口志郎
1980年代後半に2種類の抗体を使ったradioimmunometric assay(IRMA)によるインタクトPTH測定法が開発されてから,診断を含め副甲状腺ホルモン異常による病態の解明が飛躍的に進歩した。近年,免疫自動分析装置を使用した測定系が開発されたことで,より高精度で迅速かつ簡便な測定が可能となり,高カルシウム血症の鑑別診断や原発性副甲状腺機能亢進症治療の補助的手段としての用途が広がっている。

Endcrine Surgery 第19巻,第1号,2002年
巨大甲状腺腫のバセドウ病手術について 内分泌外科における困難症例に対する手術
山下弘幸, 野口志郎, 内野眞也, 渡辺紳
 バセドウ病に対する手術療法は治療の選択肢の一つであるが、患者の甲状腺腫の大きさや術前の甲状腺ホルモンの状態により、手術の難易度も違い、術中の出血量や術後テタニーや反回神経麻痺などの合併症の頻度に影響を及ぼす。今回の著者に与えられたテーマは巨大甲状腺腫のバセドウ病手術についてであるが、巨大とはどの程度の大きさからという定義されたものは見当たらない。ここでは、甲状腺重量が200gを超えると比較的手技が難しくなり出血量も多くなる可能性があるので、それをもって定義させていただき、術前後の管理および手術の工夫などにつき述べる。

腎と代謝 第15巻,第2号,2002年
原発性副甲状腺機能亢進症に対する Minimally Invasive Surgery
山下弘幸、野口志郎
本稿では、Minimally invasive parathyroidectomy(低侵襲副甲状腺摘出術)について概説する。低侵襲手術を"切開と剥離範囲を最小限にしかも短時間で行う手術"と定義すると、小切開下の副甲状腺摘出術が最もあてはまると考えるが、内視鏡下、局所麻酔下の手術についても言及し、補助手段としての術中迅速副甲状腺ホルモン測定(quick PTH assay)やradio-guided parathyroidectomyについても諸家の報告にわれわれのデ-タを加えながら述べる。

家族性腫瘍 第2巻,第1号,2002年
家族性腫瘍に対する治療法の選択−第7回家族性腫瘍研究会学術集会シンポジウム報告−
田村和朗、内野眞也、小杉眞司、土井隆一郎、菅野洋、金子明博、市橋正光、冨田尚裕、清水洋祐、山田睦夫、小川道雄
第7回家族性腫瘍研究会学術集会のシンポジウムはテーマを「家族性腫瘍に対する治療法の選択」と題してホテル東日本宇都宮の大和西の部屋で平成13年6月14日(木)の14:50から17:00までの130分間を用いて行われた。司会は小川道雄(熊本大学二外)、田村和朗(兵庫医科大学・家族性腫瘍)が共同で担当した。

外科 第64巻,第1号,2002年
甲状腺癌の術中診断
内野眞也
[要旨]これまで甲状腺癌の術中診断法として確立された方法は術中迅速病理診断以外にはなかった。甲状腺癌の術前・術中診断における最大の課題は、濾胞性腫瘍における濾胞癌と濾胞腺腫の鑑別であり、術前・術中に濾胞癌と診断をつけうることはほとんどないといっても過言ではない。またfollicular variant typeの乳頭癌においては術前穿刺吸引細胞診では診断精度が低いが、術中迅速病理診断との併用で診断率の向上をはかれる。組織診断の目的のみではなく、甲状腺の切除範囲・リンパ節廓清の範囲など手術法の選択の決定、根治性の確認、再発腫瘍の同定などにおいて術中診断は重要となる。近年の各種診断技術の進歩により、術中迅速病理診断・術中超音波診断・Radio guided surgery・Sentinel lymph node同定・反回神経モニタリング・術中遺伝子診断等様々な術中診断が試みられるようになってきており、この領域における研究の進歩と臨床応用によせる期待は大きい。

今月の治療 第10巻,第1号,2002:39-43
バセドウ病に対する手術、放射性ヨ−ド療法
山下弘幸、村上司、野口志郎
バセドウ病の治療には、薬物療法、放射性ヨ−ド療法、外科療法の3種類があるが、自己免疫疾患であるバセドウ病を完治させる決定的な治療法ではなく、それぞれ一長一短がある。本稿では実地医家、研修医を対象に外科療法と放射性ヨ−ド療法を中心にまとめたい。
医療業務事情 2002.3.1 No.182
医療の質を高めるための用語集作成の取り込み
〜医療用語の院内統一を図る〜
姫嶋正治

内分泌外科 第18巻,第4号,2001:234-5
内分泌外科におけるインフォームドコンセント(IC)のための説明文書
バセドウ病手術
内野眞也
論文と同様の内容をインターネットに公開[公開文書]

臨床外科 第56巻,第10号,2001年:1327-30
甲状腺の濾胞性腫瘍
野口志郎
甲状腺濾胞性腫瘍は穿刺吸引細胞診においてある種の問題領域に用いられる用語である。甲状腺の高分化濾胞上皮細胞で乳頭癌に特徴的な核の所見がないものはすべてこのカテゴリーに分類される。これに含まれるものは過形成と腫瘍すなわち良性腫瘍である濾胞腺腫と悪性腫瘍である濾胞癌ということになる。これらのすべての場合に濾胞細胞は卵形ないし円形の核をもち、クロマチンは均一に分布し、核や細胞の異型性に乏しく、細胞分裂像も乏しく、悪性を示唆する所見はほとんどない。したがって、細胞診の正診率はおよそ20%と報告されている。濾胞癌の診断には病理組織学的には浸潤像を証明することが必要である。このことはばらばらになっている細胞の形態から診断する細胞診の盲点の1つと考えることもできる。したがって、後述するように形態学的手法ではなく、細胞表面の化学的マーカーを染色して識別しようとの試みがなされている。

今月の治療 第10巻,第11号,2001年
バセドウ病に対する手術、放射性ヨ−ド療法
山下弘幸、村上司、野口志郎
バセドウ病の治療には、薬物療法、放射性ヨ−ド療法、外科療法の3種類があるが、自己免疫疾患であるバセドウ病を完治させる決定的な治療法ではなく、それぞれ一長一短がある。本稿では実地医家、研修医を対象に外科療法と放射性ヨ−ド療法を中心にまとめたい。

大分県医学会雑誌 第19巻,第1号2,2001年:74-8
当院における原発性上皮小体機能亢進症の治療方針
山下弘幸 ・野口志郎
原発性上皮小体機能亢進症(pHPT)に対する画像診断の進歩による正確な部位診断ができるようになり,治癒率が高くなっているが,上皮小体は過剰腺や異所性腺の存在,腺腫だけでなく過形成,癌などの解剖 ・病理学的多様性のために手術が困難な症例もある.手術治療の治癒率を高めるには術前 ・術中の診断が重要であるが,当院でのpHPTに対する治療方針につき紹介する.術前に遺伝疾患の除外目的にMEN1遺伝子診断を行い,超音波や99mTc-MlBlシンチに加えて,両側の内頚静脈および末梢静脈のPTHを測定することにより,腫大腺が左右のどちらか,あるいは両側かを判断し,手術方針の決定に利用している.術中のQuick PTH assayにより,術中に手術の成否を判断し,持続性高Ca血症を回避する方針で臨んでいる.

日本外科連合学会誌 第26巻,第5号,2001年
特集III 第25回日本外科連合学会術集会ビデオシンポジウム2 甲状腺・乳腺・副腎の内視鏡下手術
顎下部からのアプロ−チでの内視鏡補助下甲状腺片葉切除術
山下弘幸、大島章、渡辺紳、内野眞也、野口志郎
甲状腺の手術では反回神経麻痺や副甲状腺機能低下症を未然に防ぐだけでなく、手術創が頸部であることより、美容的な配慮も時代の要請と考える。内視鏡手術は、最近では胸腹部だけでなく、甲状腺の手術にも応用されており、多施設から様々な手術手技が報告されている1)2)3)。我々の施設で内視鏡下甲状腺・副甲状腺手術を開始した当初は、前胸部1)2)あるいは腋窩3)(頸部外)からのアプロ−チ法による手術を行っていたが、現在は顎下部からのアプロ−チ法を採用している。頸部外からのアプロ-チでは片葉切除が必要な際に、症例によってはBerry靱帯周辺部の処理が困難で反回神経麻痺を危惧しなければならない。後者では、頸部を屈曲させ創をずらすことによりBerry靱帯部を直視下に処理が可能である。顎下部からのアプロ−チ法で現在まで11例を経験したので手術手技について報告する。

医学と薬学 第46巻,第5号,2001年:753-8
全自動電気化学発光免疫測定装置「ECLusys2010」による副甲状腺ホルモン測定の検討
山岡美穂(野口病院研究検査科)猪俣啓子,脇屋滋子,馬場英敏,山下弘幸*,山下裕人**,野口志郎 ***
野口病院研究検査科、*同副院長 **同研究検査科部長 ***同院長
副甲状腺ホルモン(PTH)は骨・カルシウム代謝に重要な働きを有し、PTH過剰あるいは不足により様々な病態を引き起こす。副甲状腺疾患のなかで最も多い原発性副甲状腺機能亢進症(pHPT)は高カルシウム血症とPTH高値が証明されれば一部の例外を除いて診断することができる。尚、カルシウム・ビタミンD不足による続発性副甲状腺機能亢進症も骨粗鬆症の一因として注目をあびている。PTH測定に関しては、抗体の認識部位により、C-PTH、 M-PTH、N-PTHなどを測定していたが、診断能に問題があった。そこで、80年代に2抗体法によるintact PTH(iPTH)測定1)が開発され、診断を含め副甲状腺ホルモン異常による病態の解明が飛躍的に進歩した。当初は、放射性同位元素を利用した測定 (IRMA法:immunoradiometric assay)であったが、最近では化学発光(CLIA法:chemiluminescence immunoassay)を利用したものが一般的になり、様々な試薬キットが市販されている。これらの試薬キットを用いた測定法は用手法で、測定時間が長く、手技も繁雑である。高精度を保ち測定時間を短縮することは、高カルシウム血症の鑑別診断が外来当日でも可能になることやpHPTの術中の迅速iPTH測定にも利用されることなどの利点がある。今回、ECLIA法(electrochemiliminescence immunoassay)を原理とし、測定所要時間約25分の全自動電気化学発光免疫測定装置「ECLusys2010」(ロシュ・ダイアグノスティックス社)を用いてiPTH測定の評価を行ったので報告する。尚、pHPT患者におけるiPTHの術中測定についても症例を提示する。

医学のあゆみ 第197巻,第3号,2001年:221-4
甲状腺の特異性と病変(5)  甲状腺外科 最新の進歩と動向
野口志郎
新しい甲状腺外科領域について記載した。Basedow病の手術法が再評価されるとともに,手術の最終目標が甲状腺機能の正常化から術後の再発をなくすという方針に変えようとする考え方が出てきた。腫ようの手術前診断には超音波検査と穿刺吸引細胞診が中心となってきたことから,診断の正確さ,簡便さが大きく前進した。乳頭癌は細胞診が重要な手段であるが,ろ胞腺腫との鑑別が困難な場合についても,癌マーカー分子の組織染色が開発された。内視鏡が従来用いられた腹腔や胸腔ばかりでなく頚部にも試みられているが,今後の発展は未知である。分子生物学的理解は,甲状腺のまれな病気である,家族性髄様癌においては臨床的応用の段階に入っているが,最も多くの患者が占める乳頭癌については前途多難である。

診断と治療 第89巻,第2号,2001年:244-7
甲状腺疾患の診療パーフェクトガイド  甲状腺疾患治療のコツ  バセドウ病/甲状腺機能亢進症の治療 手術療法を選択する場合
野口志郎
バセドウ病に適応の手術に関し,手術の方法と手術療法の絶対適応及び相対適応の病態について解説し、手術療法と放射性ヨード療法の相違点について説明した。手術方法には、両葉の亜全摘,一側の葉切と多足の亜全摘,甲状腺全摘等があるが、適応については専門家間でも合意はないことを述べた。抗甲状腺薬で無か粒症又は重症の肝障害或いは多発性関節痛を起こした妊娠中のもの、上記副作用があり放射性ヨード療法を拒否するもの、バセドウ眼症があるかTBIIが高く低下傾向がないものは手術療法の絶対適応であることを述べた。大部分のバセドウ病は手術の相対適応であり、甲状腺の大きさやTBIIによる寛解率を推定し、患者自身に選択させていることを述べた。

大分県病院協会報 No62'02 第19回大分県病院学会特集号
リアルタイム入退院サマリー作成のシステム運用
〜厚生労働省「民間病院における試行診断群分類を活用した調査」様式1(診療情報)作成について〜
大越康伸 河原晴美 川本均 加藤智昭(BBF)
多くの医療機関では患者退院からかなりの日数が経過して入退院サマリーが作成されている。このため、記載内容の確認に大変手間取るなどの問題を抱えている。当院では、記載項目を病名と主な処置に絞り込み、診察と同時に入退院サマリを作成するシステムを構築した。専任の病歴管理スタッフのいない120床の専門病院での経験であるが、一般の医療機関にも参考になると考え、システムの概要と運用について報告する。

ホルモンと臨床 第48巻,第3号 「特集 分子甲状腺学の進歩」
甲状腺髄様癌における杯細胞および体細胞RET遺伝子変異
内野眞也 野口志郎 山下弘幸
甲状腺髄様癌は甲状腺癌の中でも比較的希な疾患であり、日本では甲状腺癌の約1〜3%程度である。臨床的には遺伝性と散発性とに大別され、その鑑別が極めて重要である。ここでは、甲状腺髄様癌における杯細胞および体細胞RET遺伝子変異を中心に、MEN2型のRET遺伝子診断とその治療法、手術時間などについても解説したい。

Automated Genetic Analysis by PF Biosystem:User's Application Note(GA033APA0006AC)
ABIPRISM 310 Genetic Analyzer を用いた遺伝性腫瘍の遺伝子診断
内野眞也 佐藤真理 津野亜希子 山下裕人 野口志郎
近年遺伝性腫瘍の原因遺伝子が数多く特定されてきており、原因遺伝子の塩基配列を解析することにより、患者さん自身あるいは家族の遺伝子診断を行うことが可能となってきました。実際、診療現場においても遺伝子診断の必要性が増してきています。自動多光蛍光シーケンサを用いれば一般の検査室でもシーケンスを行うことが可能です。しかもその技術はAmpliTaq Gold DNA Polymerase やBigDye Terminator の出現によりさらに進歩を続けています。ここでは、多発性内分泌腫瘍症(Multiple Endocine Neoplasia-MEN)1型および2型の遺伝子診断を例にあげて説明します。

ModernPhysician 第21巻,第8号,2001:1071-2
抗甲状腺剤による無顆粒細胞症
野口志郎
無症状型無穎粒細胞症との出会い:1975年の秋、筆者が4年間の海外での研究生活を止めて野口病院に帰って間もない時のことであった。当時は野口病院ではバセドウ病の患者で抗甲状腺剤を使っている場合には白血球総数はSysmexCC700という装置でルーティンに測定して外来患者では白血球数が3000/mm3以下の場合にのみ、スライドガラスに血液のスメアーを造り検鏡して白血球の分類を行っていた。バセドウ病入院患者については入院時ルーティン検査として白血球の分類を行っていた。ある日、18歳の女性バセドウ病患者が入院した。甲状腺機能は2ヵ月のメルカゾール治療で正常、血液生化学検査ではAl-Pが高い以外はすべて正常であり、白血球数は5700/mm3であったが、好中球は171/mm3であり、無穎粒細胞症の定義である500/mm3以下であった。直ちにメルカゾールを中止した。しかし、発熱、扁桃腺炎などはなく好中球を測定しなければ無穎粒細胞症の存在にまったく気付かなかった症例であった。その頃は無症状の無穎粒細胞症などというものが存在するとは考えが及ばなかったので検査の間違いではないかと考え、1日置いてもう一度好中球数を調べた。今度は100/mm3まで減少していた。しかし、感染症がなく、予防的な抗生物質の投与も考えたが、抗生物質の副作用に骨髄抑制などが記されていたので、やむを得ずただ経過を見ることにした。当時は無菌室やクリーンベッドなどがないのでハラハラする毎日であった。4日間を置いてまた好中球数を調べた。無穎粒細胞症に気付いて1週間目である。抗甲状腺剤による無穎粒細胞症は早ければ1週間位で回復することを経験的に知っていたからである。好中球は1200/mm3まで増加していた。

ホルモンと臨床'01夏季増刊号「内分泌病理学最近の進歩2001」
単腺腫大による副甲状腺機能亢進症の病理像2
山下裕人、野口志郎、山下弘幸、内野眞也、渡辺紳、戸田雅克、
猪俣啓子、鐘撞晶子、山岡美穂、丸田淳子、岩見奈緒、橋本裕信
原発性副甲状腺機能亢進症は副甲状腺よりパラサイロイドホルモン(PTH)が過剰に分泌されるために起こる疾患である。したがって、その治療は過剰のPTHを分泌している副甲状腺を見い出して外科的に切除すればよい。副甲状腺の病態によって、それぞれ手術法が違う。癌腫では周囲に浸潤が及んでいるので(周囲に浸潤があるものを癌と診断する)、周囲組織を含めた病腺の摘出とリンパ節郭清、良性の腫瘍性病変で単腺のみが腫大していれば(単腺腫大は一般的に腺腫と考えられている)単病腺の摘出(過形成を否定するため正常腺の摘出を加える場合もある)、複数腺が腫大していれば(通常過形成と考えられている)3腺摘出し残りの1腺の一部を残すか、あるいは全腺摘出し、その一部を自己移植するのが基本的術式である。仮に、複数腺が過機能状態である病変を単腺摘出のみで終われば、残存過機能腺による機能亢進症の再発が予測される。したがって可能ならば術前に、遅くとも術中に、副甲状腺の病変が癌腫か良性病変か、良性病変ならば過機能腺が単数か複数かを知ることが手術の成否を決定する重要な要因となってくる。単腺腫大か複数腺腫大かは、外科医が術中に両側頸部を検索し腫大の有無を肉眼的に判定するのが一般的である。さらに術中の脂肪染色を用いた迅速病理検査(正常と思われる副甲状腺を切除し、術中迅速診断により、その組織像、とくに細胞内の脂肪量の多寡により、その腺が過機能腺であるかどうかを判定する、腫大腺の比重測定、尿中のcAMP測定、血清カルシウムイオンなどの測定も補助手段として行われている。しかし、過機能腺の腫大が軽度の場合や異所性の過機能腺が存在する場合は、取り残しが起こりやすく術後に副甲状腺機能亢進症が再発することもある。現時点で過機能腺が単数か複数かを決定するために有用な情報を与えてくれる方法が、術中intact parathyroid hormone(I-PTH)濃度測定である。当院では1999年より原発性副甲状腺機能亢進症に対する副甲状腺摘出術に際して術中迅速病理診断と術中迅速血中I-PTH濃度測定を併用し、過機能腺の取り残しによる副甲状腺機能亢進症の再発を防止している。本稿では、1-PTH測定により単腺腫大あるいは複数腺腫大とされた副甲状腺の病理組織像を報告する。

手術 第55巻,第8号,2001年:1061-5
甲状腺手術における頸部食道切除・再建
山下弘幸*、 杉谷篤**、 野口志郎*2
*
野口病院 副院長 **九州大学臨床・腫瘍外科、腎疾患治療部講師 *2野口病院 院長
甲状腺分化癌の予後は一般的に良好であるが、喉頭や気管、食道に浸潤し致命的となる症例も存在する。そのような症例に対して、手術の根治性を得るために浸潤臓器の合併切除が必要になってくる。食道への浸潤は、通常筋層までの浸潤でとどまるものが大部分であり、その場合には浸潤した食道筋層の切除を行うが、全層浸潤の場合は範囲により部分切除あるいは食道切除が選択される。本稿では甲状腺手術における頸部食道切除・再建の適応、手技と合併症に対する対策について述べる。

手術 第55巻,第4号,2001年:507-11
顎下部からのアプローチによる内視鏡補助下甲状腺片葉切除術(第2報)
山下弘幸、渡辺紳、高津圭介、小池英介、内野眞也、大島章、野口志郎
甲状腺・副甲状腺の手術では反回神経麻痺や副甲状腺機能低下症を未然に防ぐだけでなく、手術創が頸部であることより、美容的な配慮も時代の要請と考える。しかし、美容面が優先され、広範囲の皮下剥離や長時間の手術に伴う侵襲性や器具にかかる費用など無視できない問題が生じている。我々は、顎下部からのアプロ−チ法による内視鏡補助下甲状腺片葉切除術を報告した1)。この方法は、甲状腺上極およびBerry靱帯部を直視下に処理が可能であり、美容的にも満足できた。しかし、この方法でもある程度の皮下剥離や通常の方法に比較し手術時間を要した。
これらの問題を解決するために、顎下部の小切開創(3cm)のみでの内視鏡補助下甲状腺片葉切除術を考案し(改良法)、2000年7月より9月までに15例を経験したのでこの手術手技について述べる。

外科 第63巻,第1号,2001年:53-6
バセドウ病最近の外科的治療
野口志郎
バセドウ病の外科的治療はβ遮断剤の導入後は本質的な進歩があったとは思われない。甲状腺機能をコントロールする方法については、依然として抗甲状腺剤を使い手術の数日前から無機ヨード剤を使い、機能が充分にコントロールされていない場合にはβ遮断剤を補助的に使うというパターンがほぼ定着している。ただ最近の動向としては米国で外科治療の良さが見直されはじめたこと、世界的に良性の甲状腺疾患の手術例、特にバセドウ病に癌の合併が多いことが注目されてきていること、わが国では美容的目的からバセドウ病にも内視鏡手術が試みられ始めたこと、傷痕を見苦しくしないための工夫と薬物療法が普及してきたこと、またHartley-Dunhill法(1葉の全摘出と反対側の部分切除)がかなり行われるようになっていることなどであろう。また、外科的治療の治療成績は施設によって著しく異なるのでその点についても、その背景因子について触れたい。

日本臨床外科学会雑誌 第61巻,第11号,2001年
一期的に手術したバセドウ病と原発性アルドステロン症の一例
小池英介 山下弘幸 大島章 村上司* 水越常徳* 山下裕人** 志村英生*** 野口志郎
野口病院外科, 同内科*, 同病理**, 福岡大学第一外科***
原発性アルドステロン症を合併したバセドウ病に対して、 一期的に甲状腺亜全摘術と腹腔鏡下副腎摘出術を行った。 症例は58歳女性で、13年前より高血圧症とバセドウ病のため内服治療を受けていた.。尚、4年前より低カリウム血症を指摘され、カリウム製剤の内服も受けていた。今回当院を受診し、上記診断にて一期的に手術を行った。両疾患の合併は稀で一期的に手術した報告はないので、症例を紹介し、診断・治療について考察した。

日小血会誌 第14巻,第6号,2000年:394-397
多発転移を伴った小児甲状腺癌の1例
吉本寿美*1,山下弘幸*2,請園なぎさ*3,橋山元浩*1,森永信吾*1,足立尚登*1
*1熊本大学医学部附属病院小児科,*2野口病院甲状腺外科,*3熊本赤十字小児科
小児甲状腺癌はまれな疾患だが、乳頭腺癌がほとんどで予後良好の場合が多い。今回われわれは初診時、肺および頸部リンパ節への多発転移を認めた小児甲状腺癌の1例を経験したので報告する。症例は10歳女児で、1999年2月喘息と呼吸困難にて近医を受診した。その際、胸部X線にて両側肺に多発結節状陰影を認め、多発の頸部リンパ節腫脹を指摘されたが、原発巣不明のため当科に紹介された。頸部リンパ節生検にて甲状腺癌(乳頭腺癌)と診断した。化学療法が無効であったため、甲状腺およびリンパ節摘出後に131I療法を行なった。現在、画像上は肺病変は縮小せず、血中サイログロブリン濃度もあまり低下していない。131I療法は乳頭腺癌のような分化型癌には有効な場合が多いが、本症例ではあまり効果がなかった。

Medical Practice 第17巻,2001年:2122
亜急性甲状腺炎に合併した甲状腺乳頭癌
山下弘幸
亜急性甲状腺炎は甲状腺部の圧痛などの特徴的な臨床症状、甲状腺機能亢進や放射性ヨ−ド摂取率が低いことより診断できる。しかし、臨床症状がはっきりしない症例では、超音波所見で乳頭癌と鑑別が困難なことや細胞診でも巨細胞の出現が少ない場合は核の異型性より乳頭癌と誤診されることがある。我々は甲状腺乳頭癌に亜急性甲状腺炎を合併した症例を2例経験したので、診断・治療について述べる。

内分泌外科 第17巻,第4号,2000年:247-50
小児甲状腺癌  最新の知見  小児甲状腺癌の特徴
野口志郎
著者らの施設での経験を中心に標記について解説した。小児および若年者(6〜19歳)の甲状腺癌は甲状腺癌全体の約2%に過ぎない。経験した134例(1946〜1996年)の組織型は,乳頭癌103例,ろ胞癌18例,未分化癌1例,髄様癌1例,微小癌とのみ記されたもの11例であった。分化癌の年齢分布,病態,生存率などについて述べた。

日本臨床平成12年11月30日発行
免疫症候群−その他の免疫疾患を含めて−(上巻) 自己免疫性下垂体炎
藤平隆司

腎と骨代謝 第13巻,第4号,2000年:303-9
原発性上皮小体機能亢進症術式の変遷
山下弘幸、野口志郎

外科治療 第82号 増刊 2000
特集 今日の腫瘍外科-最新の治療方針-
甲状腺の腫瘍性疾患 希な組織型の甲状腺腫瘍

山下裕人、野口志郎
家族性大腸ポリープ(FAP)に合併する甲状腺癌はcribriform-patternやtubular pattern,nuclear clearingを伴うmorula形成など、複雑な組織像を呈するのが特徴である。この型の癌にFAPが合併する率は33%であった。転移性甲状腺癌の原発巣は腎癌がもっとも多く、clear cell tumorを見た場合、まず転移と考えて鑑別にあたっている。その他希な組織型を示す甲状腺疾患についても述べた。

日本耳鼻咽喉科学会会報〔Journal of Otolaryngology of Japan〕第103巻,2000年:1205-11
Nonrecurrent inferior laryngeal nerve 7例の臨床的検討
寺尾恭一、戸田雅克*、村田清高
近畿大学医学部耳鼻咽喉科学教室、*野口病院耳鼻咽喉科
Nonrecurrent inferior laryngeal nerve(NRILN)は手術時偶発的にみつかることがほとんどであり、NRILNの可能性の認識がない場合には手術時損傷の危険性が高まる。自験例7例に対して、その頻度、手術時の注意点、術前、術後の検査の必要性について述べた。1998年12月から2000年3月までの1年4カ月間に当院で甲状腺、副甲状腺手術を施行した1889例を対象とした。1889例中7例(0.37%)の右側NRILNを確認した。左右別では、右側反回神経確認903例中7例(O.78%)、左側反目神経確認855例中0例であった。5例は甲状腺上、中部レベルにて、2例は甲状腺下部レベルにて迷走神経より分枝していた。全例ともNRILNを術前には予想していなかった。術前症状としては7例中3例に軽度の嚥下障害や咽喉頭異常感を認めた。術後に胸部X線を再検討したところ3例に、鎖骨下動脈起始異常に特徴的とされる線状陰影を認めた。MR angiography(MRA)を3例に施行したところ、全例に右鎖骨下動脈起始異常を認めた。7例全例に術後反回神経麻痺は認められなかった。甲状腺、副甲状腺疾患においては、原疾患の診断に用いた検査等よりNRILNを術前に予測できる可能性がある。NRILNの頻度が低いこと、digital subtraction angiography(DSA)、MRA、食道造影等に要する費用、侵襲度の問題より考えると、手術例全例に対し術前これらの検査を行う必要性はないと考える。NRILNの確認例において、術後に血管奇形の有無を精査すべきかどうかについては、基本的には必要ないであろう。手術にあたっては常にNRILNの可能性を念頭におき,慎重かつ解剖学的思慮に富んだ手術が望ましい。

手術 第54巻,第12号,2000年
甲状腺癌における気管環状切除術の工夫
山下弘幸、 大島章、 野口志郎、内野眞也、渡辺紳、戸田雅克
甲状腺分化癌の予後は一般的に良好であるが、周囲臓器に浸潤し致命的となる症例も存在する。そのような症例に対して手術の根治性を得るために浸潤臓器の合併切除が必要になってくる。気管浸潤に対しては壁深達度や浸潤範囲により様々な術式が選択されるが、浸潤が広範囲にわたる場合には気管環状切除が適応になる。環状切除・再建の手技については諸家の報告1〜4)があるが、気管切離後術野挿管に切り替え、気管後壁の吻合後経鼻あるいは経口挿管に入れ替え、前壁の吻合が行われている。我々は、挿管チュ-ブを入れ替えなしで気管環状切除・再建を4例に行い良好な結果を得たので、手術手技について報告する。

日臨外会誌 第61巻,第8号,2000年
原発性副甲状腺機能亢進症における術中迅速副甲状腺ホルモン測定の有用性
山下弘幸、野口志郎、内野眞也、渡辺紳、大島章、高津圭介、小池英介、山下裕人
原発性副甲状腺機能亢進症にて手術を施行した21例を対象に術中に副甲状腺ホルモン(I-PTH)を測定し、外科的治療の成否を判断する試みを行った。2例は既往に甲状腺切除を受けていた。術前に1腺の副甲状腺腫と判断した4症例に対しては小切開法で手術を行った。副甲状腺摘出直前、2、5、10、15分後のI-PTHをCLIA法にて測定した。12例に副甲状腺1腺の切除を、9例に2腺以上の切除を行った。持続性・再発性の高Ca血症は1例もなかった。I-PTHは副甲状腺摘出直前の209+/-213pg/mlより摘出後15分で42/36pg/ml(前値の20.7+/-9.6%)と有意に減少した。甲状腺癌の手術後の症例では、術中に両側内頚静脈のI-PTHの測定より(左が有意に高かった)、左側で下咽頭と頚部食道の境界部の食道後壁に存在した9×8mm大(重量170mg)の副甲状腺腫瘤を摘出できた。迅速I-PTH測定により、術中に手術の成否の判断が可能であり、特に甲状腺切除後や縮小手術(片側あるいは1腺のみの手術)の原発性副甲状腺機能亢進症に有効であった。

内分泌外科 第17巻,第2号,2000年:69-72
Quick PTH assayによるlimited exploration
山下弘幸、猪俣啓子、野口志郎、内野眞也、渡辺紳、山下裕人、二田哲博、村上司
原発性副甲状腺機能亢進症(pHPT)の約80%の症例は単一の腺腫であり、腺腫摘出により根治が可能である。術前の超音波検査や99mTc MIBIシンチなどによる腫大副甲状腺の局在診断能の向上により、片側あるいは1腺のみの縮小手術で終了することも可能であり、最近では内視鏡下手術も行われている。最近、欧米を中心に術中迅速副甲状腺ホルモン測定(Quick PTH assay)が行われ、その有効性が報告されている。欧米では、pHPTの初回手術例では部位診断を行わない施設もあるが、部位診断に病的腺切除後のQuick PTH assayをすることにより、片側あるいは1腺のみの手術で終了する施設も多くなってきている)。一方、わが国では、部位診断を行わない施設はほとんどないが、Quick PTH assayはほとんどおこなわれていないのが現状である。本稿では、Quick PTH assayの測定原理と方法についてふれたのち、縮小手術への応用や問題点などを諸家の報告にわれわれのデ-タを加えながら考察する。

手術 第54巻,第9号,2000年:1239-43
顎下部からのアプローチによる内視鏡補助下甲状腺片葉切除術
山下弘幸、大島章、高津圭介、小池英介、内野眞也、渡辺紳、野口志郎
甲状腺・副甲状腺の手術では反回神経麻痺や副甲状腺機能低下症を未然に防ぐだけでなく、手術創が頸部であることより、美容的な配慮も時代の要請と考える。内視鏡手術は、最近では胸腹部だけでなく、甲状腺・副甲状腺の手術にも応用されており、美容的には満足する結果が報告されている。我々は、前胸部あるいは腋窩(頸部外)からのアプロ−チ法による手術に加えて、顎下部からのアプロ−チ法も選択している。頸部外からのアプロ-チでは片葉切除が必要な際に、症例によってはBerry靱帯周辺部の処理が困難で反回神経麻痺を危惧しなければならない。後者では、頸部を屈曲させ創をずらすことにより甲状腺上極およびBerry靱帯部を直視下に処理が可能であり、創部に関しても美容的に満足できる。1999年10月より内視鏡下甲状腺・副甲状腺手術を開始し、現在まで副甲状腺腫3例(1例は同時に甲状腺切除施行)と良性甲状腺腫15例を経験した。顎下部からのアプロ−チ法で現在まで6例を経験したので手術手技について述べる。

日本臨床外科学会雑誌 第61巻,第4号,2000年:881-5
バセドウ病を合併した重症筋無力症の1例
〜甲状腺亜全摘術と内視鏡下胸腺摘出術による一期的手術の経験〜
小池英介 山下弘幸 大島章 渡辺紳 内野眞也 高津圭介
山下裕人* 志村英生** 野口志郎
野口病院外科 同病理* 福岡大学第1外科** 
重症筋無力症に様々な自己免疫疾患、特にバセドウ病の合併が多いことはよく知られている。従来の治療法では甲状腺亜全摘後、甲状腺機能の安定化を待ってから二期的に胸腺を摘出する方法がよく用いられてきた。しかし近年、術前管理の進歩で術後に甲状腺クリーゼをおこす危険が極めて低くなったこと、また低侵襲でかつ美容的にも優れた内視鏡下手術により胸腺を摘出できるようになったことなどを考慮すると、一期的な手術も十分可能と考えられる。今回我々は、バセドウ病と重症筋無力症を合併した27歳の女性に対して、一期的に甲状腺亜全摘術と内視鏡下胸腺摘出術を行った。検索し得た限りでは、内視鏡下で胸腺を摘出した一期的手術の報告はなかった。今後、この術式は治療法の選択肢の一つになり得ると考えられたため報告する。

臨床外科 第55巻,第6号,2000年:767-9
副甲状腺ホルモンの術中迅速測定を補助手段とした内視鏡下副甲状腺摘出術
山下弘幸、大島章、内野眞也、渡辺紳、山下裕人、野口志郎
原発性副甲状腺機能亢進症の80%の症例は単一の腺腫であり、腺腫摘出により根治が可能である。術前の超音波検査や99mTc MIBIシンチなどによる腫大副甲状腺の局在診断能の向上により、片側あるいは1腺のみの縮小手術で終了することも可能であり、最近では内視鏡下手術も行われている。欧米では、縮小手術において他の病的腺の見逃しを回避する補助手段として、術中迅速副甲状腺ホルモン測定7)が用いられているが、本邦での報告は少ない。われわれは、術前検査で単一の副甲状腺腫瘍と診断した症例に対して術中迅速副甲状腺ホルモン測定を用いた内視鏡下副甲状腺摘出術を導入した。現在までに3例経験し、美容的にも満足する結果を得たので、1症例を提示し手術手技と術中の迅速副甲状腺ホルモン測定の有用性について報告する。

Medical practice  第17巻,2000年:875
骨粗鬆症の患者で上皮小体機能亢進症は見逃されていないか?
山下弘幸
近年、骨密度の測定法の普及により骨粗鬆症に対する予防や治療について関心が高まっている。骨粗鬆症には閉経後の女性に多く発生する原発性と上皮小体機能亢進症、ステロイド内服、肝疾患、炎症性腸疾患などに随伴する二次性がある。なかでも閉経後の女性に多く発生する上皮小体機能亢進症の鑑別は非常に重要である 。 我々は最近、骨粗鬆症の治療中に甲状腺腫を指摘され紹介され、甲状腺乳頭癌と上皮小体機能亢進症の診断で手術を施行した症例を経験した。

手術 第54巻,第4号,2000年:563-6
小切開下の上皮小体摘出術を施行した原発性上皮小体機能亢進症の1例−迅速副甲状腺ホルモン測定を補助手段として-
山下弘幸、大島章、野口志郎、内野眞也、渡辺紳
 手術症例報告 

手術 第54巻,第3号,2000年:363-6
小切開下の甲状腺葉切除術
山下弘幸、大島章、野口志郎、内野眞也、渡辺紳
 甲状腺濾胞性腫瘍は、超音波検査や細胞診で良悪性の鑑別が困難であるので手術適応となる。甲状腺手術に特有な合併症である反回神経麻痺や上皮小体機能低下症を未然に防ぐだけでなく、手術創が頚部であることより、美容的な配慮も時代の要請と考える。内視鏡手術は、最近では胸腹部だけでなく、甲状腺切除にも応用されており、美容的には満足する結果が報告されている。しかし、内視鏡下手術の本来の目的であるminimally invasive surgeryと言う点では、手術時間が長くなるなどの短所がある。われわれは最近、術前診断が濾胞性腫瘍の症例に小切開下での甲状腺片葉切除術を行い、美容的にも満足する結果を得たので、手術手技につき報告する。

Medical practice 第17巻,2000年:317
バセドウ病眼症を疑われた重症筋無力症例
山下弘幸
 重症筋無力症にはバセドウ病、特発性血小板減少性紫斑病、橋本病、慢性関節リウマチ、自己免疫性溶血性貧血、全身性エリテマトーデスなど様々な自己免疫性疾患が合併することはよく知られている。バセドウ患者で突眼と複視を訴えたためバセドウ眼症を疑われたが、臨床症状や検査所見より、それらは重症筋無力症によるものと診断された症例を経験した

Medical practice 第17巻,2000年:147
バセドウ病術後の無痛性甲状腺炎による甲状腺機能亢進症例
山下弘幸
 バセドウ病術後患者において甲状腺ホルモン高値で機能亢進症状を示す場合、通常は術後の再発を考える。当院での手術例で、術後10年目にバセドウ病の再発と診断され放射性ヨード療法目的で紹介されたが、入院後の検査にて無痛性甲状腺炎による甲状腺機能亢進症と診断した症例を経験した。

外科治療 第81巻,第1号,1999年:37-9
甲状腺外科 今日の治療  予後因子に基づいた甲状腺癌の治療
野口志郎
甲状腺の切除範囲は,手術時に甲状腺全体を丁寧に触診して腫ようの大きさと部位 ,腺内転移の有無と部位によって甲状腺の切除範囲を全摘とか亜全摘とかにこだわることなく個々の症例に応じた切除法を行えば,切除法による予後の差はない。肉眼的に転移がないと思われる場合でも原発巣が甲状腺の被膜を越えている場合には保存的リンパ節郭清を行った方が予後が良い場合がある。すなわち,前頚筋あるいは気管と癒着がある50歳以上の症例,反回神経や食道と癒着のある症例である。

病院 第58号,第5号,1999年:412-4
岐路に立つ中小病院  中小病院の専門化の現状と課題  甲状腺疾患専門病院の立場から
野口志郎
専門病院の経営について甲状腺疾患専門病院の立場から次項に従って概説した。1)専門病院の定義,2)専門病院の必要性,3)専門病院へのアクセス,4)専門病院の実際(患者の受診動機,患者の地理的分布),5)技術評価と専門病院。

内分泌外科 第16巻,第3号,1999年:205-8
大きな甲状腺腫を有するバセドウ病患者に対する自己貯血下の手術
山下弘幸、野口志郎、椎葉昌史、木田景子*、渡辺紳、内野眞也、大島章、村上司、野口隆之*
野口病院、*大分医科大学麻酔科 
同種血輸血(以後輸血)には感染症1)、同種免疫による免疫学的副作用2)、移植片対宿主病(GVHD) 3)などの危険性を有する。これらの輸血による副作用を防止する目的で、一般外科領域の手術において大量の出血が予想される場合、術前に自己貯血を行なうことが推奨されている4)〜8)。大きな甲状腺腫を有するバセドウ病患者では、大量の出血のため余儀なく輸血をせざるを得ない場合があるが、これらの症例に対する自己貯血に関する報告はない。当施設では、平成8年より甲状腺腫の大きなバセドウ病患者には自己貯血を行い手術を施行しているが、これまでに8例を経験したので、適応、採血量、手術のタイミングや問題点などにつき検討し、今後の方針について考察する。

日臨外会誌 第61巻,第1号,1999年
甲状腺切除後の原発性副甲状腺機能亢進症2例:術中迅速副甲状腺ホルモン測定の有用性
山下弘幸、野口志郎、猪俣啓子、渡辺紳、内野眞也、大島章
 われわれは、副甲状腺機能亢進症(PHP)の手術の成否の判断目的に、術中迅速I-PTH測定を導入し、これまでに11例経験した。今回は、術中I-PTHの迅速測定が特に有効であった甲状腺切除の既往を有するPHP2症例につき報告する。症例1はバセドウ病にて甲状腺亜全摘術後で、術前に指摘された腫大上皮小体切除後、I-PTHが十分低下したので手術を終了した。症例2は甲状腺乳頭癌にて左葉切除後であった。術前に指摘された部に腫大腺はなく、術中に行った両側の内頚静脈のI-PTH測定結果をもとに。食道後壁の上皮小体腫瘤を摘出できた。

Medical practice 第16巻,1999年:1521
家族性低Ca尿性高Ca血症を合併したバセドウ病手術例
山下弘幸
 未治療のバセドウ病患者においては高頻度に高Ca血症が認められる。抗甲状腺剤による治療で甲状腺機能が正常化しても高Ca血症が持続する場合は、高Ca血症をきたす疾患の合併を考え鑑別診断が必要である。最近、バセドウ病の術前に家族性低Ca尿性高Ca血症(FHH)を診断しえた症例を経験した。

Medical Practice 第16巻,第3号,1999年:491
リチウム投与中の躁うつ病患者に発症した副甲状腺機能亢進症
山下弘幸
 炭酸リチウムは躁うつ病の治療として用いられているる薬剤である。この薬剤により、甲状腺機能低下をはじめ種々の内分泌機能障害が明らかにされてきているが、副甲状腺機能亢進症の報告例は本邦において少ない。この薬剤投与中に原発性副甲状腺機能亢進症と一致した生化学検査結果と超音波および副甲状腺シンチグラフィーで1腺の腫大が診断され手術を施行した症例を経験した。

外科 第59巻,第13号,1997年:1752-5
散発性髄様癌における RET 遺伝子変異
内野眞也, 野口志郎
 甲状腺髄様癌において,RET 遺伝子診断を行うことにより遺伝性と散発性の鑑別が可能となった.術前に甲状腺髄様癌が疑われる場合には,遺伝子診断は必ず行うべきである.また,散発性髄様癌においては,遺伝性の mutation hot spots とは異なる部位に mutation が報告され,塩基欠損や LOH など種々の遺伝子変異の関与が明らかにされつつある.

喉頭 第9巻巻,第2号,1997年:150-5
甲状腺癌手術における反回神経麻痺の統計学的観察
近藤昭男, 記本晃治, 小池靖夫, 橋内巧弘, 戸田雅克, 山下弘幸, 川本均, 村上信夫, 野口志郎
 術後の病理組織検査で甲状腺癌と診断された1293例を対象に,反回神経麻痺を起こす危険因子について解析した。また,術中に反回神経麻痺を保存した118例の神経麻痺を90日間追跡し,その改善を調査した。一方,乳頭癌の根治手術症例で,反回神経を保存できた384例と保存できなかった85例の生命予後を検討した。術後反回神経麻痺を起こす危険因子は,年齢,腫瘍の最大径,腫瘍と反回神経の癒着であったが,最大の危険因子は腫瘍と反回神経の癒着であった。また,改善には腫瘍と反回神経の癒着のみが影響を与えるとの結果を得たが,年齢に関しても,44歳以下では全症例が改善していた。さらに,反回神経保存群,非保存群とも生存率,無再発生存率が高値で有意差はなかった。

臨床病理 第45巻,第9号,1997年:899-902
TI 自己免疫性甲状腺疾患におけるAPTT延長およびLAC (Lupus Anticoagulant)の検索
谷好子, 野口志郎, 森田三雄
 自己免疫性甲状腺疾患(AITD)における延長された活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)およびループスアンチコアグラント(LAC)の度合いについて検討した。AITD群でのAPTT延長の頻度は6.2%で、非AITD群の約3倍であった 。後天性抗凝固因子であるLACを血小板中和法で測定したところ、APTT延長サンプルの内AITD群では51.5%、非AITD群では25%に存在を認めた。APTT延長群のAITD群では流産頻度が55%で、非AITD群の約2倍であった。しかし、甲状腺自己抗体と流産との間に有意差は認められなかった。

臨床外科 第52巻,第9号,1997年:1131-5
甲状腺と上皮小体の外科:最近の進歩 甲状腺癌の予後(生存時間)の推定
野口志郎
 予後を数字あるいは段階で表現できれば好都合だが,予後分類法の基本的考え方は,現実の予後調査に基づいた生存データにより予後因子を探し出し,それらの相互関係を明らかにすることにある。世界各国で発表されている甲状腺癌の予後因子のうち,一致しているのは年齢,腫瘍の最大径ないし大きさ,甲状腺被膜外への浸潤である。遠隔転移の有無も記述がある場合は一致している。

西日本泌尿器科 第59巻,第9号,1997年:718-21
すい臓と甲状腺に晩期転移を来たした腎細胞癌の1例
稲留彰人, 吉田正貴, 高橋渡, 米納誠, 瀬下博, 上田昭一, 山下弘幸, 野口志郎
 症例は55歳時に左腎腫瘍にて根治的腎摘出術を受けた65歳女で,その4年後に膵臓に多発性の腫瘍が認められた。腎細胞癌の膵転移の診断のもとに,膵体尾部切除,ひ摘出術,膵頭部腫瘍核出術を行った。10年後に甲状腺の腫大を主訴とした。超音波所見より転移が疑われたため,甲状腺生検を施行し,腎細胞癌の甲状腺転移の診断で,甲状腺全摘除術を施行した。病理組織学所見から明細胞癌の甲状腺転移と診断した。

臨床と研究 第74巻,第7号,1997年:1698-703
甲状腺悪性腫瘍の治療
山下弘幸, 内野眞也, 野口志郎
 甲状腺悪性腫瘍は病理組織型によって乳頭癌及び濾胞癌を含む分化癌と髄様癌, 未分化癌, 悪性リンパ腫に大別される。組織型によって生物学的特性が異なるので特性に応じた治療が必要である。本稿では, 甲状腺悪性腫瘍の組織型別に生物学的特徴を記し治療方針について解説する。さらに分子生物学的手法を用いた遺伝子診断についての最近の知見と臨床への応用につき述べる。

日本内科学会誌 第86巻,第7号,1997年:1180-3
甲状腺疾患:診断と治療の進歩 腫瘍性疾患の治療 甲状腺良性腫瘍の治療
山下弘幸, 野口志郎
 甲状腺良性結節はろ胞腺腫と腺腫様甲状腺腫に大別される。一般的に前者は腫瘍が単発で境界明瞭であり,後者は結節が多発性で過形成と退行性変化となったもので,結節内の出血,壊死,石灰化などがみられる。癌の疑い,腫瘤大,周囲臓器圧迫,機能性結節などが切除の適応となる。手術症例では,腺腫様甲状腺腫に癌が合併する頻度が高く,術前診断率が低かった。またろ胞腺腫はろ胞癌との鑑別が困難であったが,腫瘍径が大きいほど,また血清チログロブリンが高いほど悪性の割合が高かった。

日本臨床細胞学会雑誌 第36巻,第6号,1997年:563-567
甲状腺疾患における石灰沈着,特に砂粒体の出現とその有用性
丸田淳子, 野口志郎, 山下裕人
 乳頭癌495例,ろ胞癌60例,ろ胞腺腫730例,腺腫様甲状腺腫628例などを対象として標記検討を行った。粗大な石灰沈着の頻度は,乳頭癌およびろ胞癌のほうが,ろ胞腺腫および腺腫様甲状腺腫より高頻度であった。砂粒体は乳頭癌にて高頻度にみられる特徴的所見であった。また,乳頭癌の砂粒体は乳頭状構造部で数多く,ろ胞構造部では少なかった。砂粒体は乳頭癌の指標となり,さらに腺内播種や所属リンパ節転移の指標にもなり得る。

Osteoporosis Japan 1997 第5巻,第2号,1997年:333-338
骨粗しょう症健診により発見できた副甲状腺機能亢進症の1例
岡本純明, 井上健, 内野眞也, 山下弘幸, 野口志郎
 骨塩量の健康診断の来院者の中から副甲状腺腫を診断し治療し得た1例(39歳女性)を報告した。骨塩量減少者で副甲状腺機能高進症の頻度は高く骨粗しょう症健診から見いだせる可能性は大きいと思われる。骨量健診後,保険診療の枠内で行うべき精査の範囲は意見が一致していないが,健診後,骨粗しょう症治療に入る前に高感度副甲状腺ホルモン等の精査が重要と思われる。

内分泌外科 第14巻,第3号,1997年:209-213
甲状腺微小癌 甲状腺微小癌の病理(乳頭癌以外の癌を含めて)
山下裕人, 野口志郎
 微小癌のなかにろ胞癌や髄様癌は存在するが,de novoの未分化癌は存在しないことを見いだしたので報告した。1966年から1990年まで野口病院で手術された症例のなかから微小癌あるいはその疑いと診断されていた1,478例を再検査した。組織診断の結果,乳頭癌が1,282例,ろ胞癌が59例,髄様癌が4例で,悪性リンパ腫,未分化癌,扁平上皮癌は認められなかった。ろ胞癌については浸潤のありかたからタイプを4つに分けて解説した。観察事実などから未分化癌はde novoに発生することはなく,ろ胞上皮腫瘍,あるいは髄様癌の転化によってのみ発生することが示唆された。

日本臨床細胞学会雑誌 第36巻,第1号,1997年:13-18
甲状腺嚢胞性病変の細胞学的検討
丸田淳子, 野口志郎, 山下裕人
 甲状腺の嚢胞性病変に由来する穿刺吸引細胞診材料を用いて細胞学的検討を行った。病変の一部以上に嚢胞性変化を伴う頻度は,乳頭癌531例,ろ胞癌61例,ろ胞腺腫865例,腺腫様甲状腺腫797例でそれぞれ 21, 43, 65, 78 % であった。嚢胞を伴った乳頭癌およびろ胞腺腫は,実質性のものに比し平均腫瘍最大径が有意に大きかった。嚢胞性病変に対する細胞診では少なくとも2回以上の穿刺吸引細胞診の施行が必要であった。

手術 第50巻,第12号,1996年: 2121-4
甲状腺癌再発例に対して咽喉頭切除,食道抜去,咽頭胃管吻合,縦隔気管ろう造設を行った1例
高橋広, 中田達広, 宮内勝敏, 佐藤尚, 木村茂, 渡辺伸, 野口志郎
 症例は52歳の男で,甲状腺分化癌の初回手術後9年目に,下咽頭と食道及び喉頭気管に浸潤した。穿刺吸引細胞診で未分化変化を認めず,咽喉頭合併切除により腫りゅう摘出可能と判断した。本症例では,喉頭温存は不可能であり,喉頭を摘出後,Grilloの縦隔気管ろうを造設した。この手術手技を中心に報告した。

外科 第58巻,第12号,1996年:1439-42
甲状腺分化癌の手術 特にリンパ節の郭清法
野口志郎
 甲状腺分化癌は成長が遅く予後が良いが,十分郭清したつもりでも一定の割合で再発する。甲状腺分化癌手術の自験例によると,保存的リンパ節郭清術(MRND)を行った症例は,MRNDを行わなかった症例より明らかに重症であるが,遠隔成績ではMRNDを行った症例の方が予後がよい。以上のことをふまえ,2本の皮切による側頚部上方の郭清のポイントを図説した。

外科 第58巻,第6号,1996年: 695-700
非根治甲状腺癌に対する集学的治療法 エタノール注入療法について
渡辺紳, 野口志郎, 村上信夫, 二宮常之, 落合栄志
 大部分の甲状腺癌は根治手術が可能であるが,腫瘍の局所進展が著しい場合等では非根治となり,治療に難渋する症例もある。非根治症例に対し種々の集学的治療を試みているが,そのうちのエタノール注入療法について,実際の治療手技や評価方法を紹介し,現在までの治療経過から今後の展望を考察した。

日本臨床細胞学会雑誌 第35巻,第6号,1996年: 513-6
甲状腺疾患における urokinase‐type plasminogen activator および同 receptor の免疫学的検討
丸田淳子, 野口志郎, 山下裕人
 乳頭癌31例,ろ胞癌3例,ろ胞腺腫21例,腺腫瘍甲状腺腫24例の組織標本と捺印標本を用いて,免疫染色を行いウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベータ(u‐PA)とそのレセプター(u‐PAR)の発現を調べた。乳頭癌とろ胞癌では組織標本が全例陽性で,捺印標本では各22例(71%)と2例(67%)が陽性であった。u‐PAとu‐PARは甲状腺分化癌で高発現した。

臨床病理 第44巻,第1号,1996年:42-50
甲状腺癌の診断 CD26/Dipeptidyl Peptidase IV と Thyroid Peroxidase の診断的意義
梅木一美, 大瀧幸哉, 丸田淳子, 野口志郎, 小野勲, 近衛晃賢, 田中哲二, 豊田清一, 坂元藤雄
 摘出甲状腺組織で標題表記2酵素の組織化学腫瘍マーカーとしての意義を検討した。乳頭癌でサイロイドペプチダーゼ発現抑制,乳頭癌及びろ胞癌でCD26/ジペプチジルペプチダーゼIVの異常発現がみられ組織型に特徴的所見でmRNAレベルで制御されていると考えられた。前者は甲状腺の脱分化,後者は発癌とその進行の指標として有用な組織化学腫瘍マーカーと思われた。

日本臨床細胞学会雑誌 第35巻,第1号,1996年:14-9
甲状腺Adenolipomaの細胞学的,組織学的所見
丸田淳子, 野口志郎, 山下裕人
 甲状腺原発のAdenolipoma 17例(男 1, 女 16, 39-74歳)の臨床所見,組織所見,穿刺吸引細胞所見を検討した。画像診断では限局性の腫瘤であり,組織学的には様々な形態をとるろ胞上皮由来の腫瘍細胞成分と脂肪組織が混在した。穿刺吸引細胞診でも異型性の乏しいろ胞上皮由来の腫瘍細胞と成熟脂肪細胞や脂肪滴を認めた。

日本臨床細胞学会雑誌 第34巻,第6号,1995年:1025-9
甲状腺疾患における癌遺伝子 c‐erbB‐2, c‐myc の免疫組織・細胞学的検討
丸田淳子, 川本均, 野口志郎, 山下裕人
 病理組織診断の確定した乳頭癌 43例,ろ胞腺腫 19例,腺腫様甲状腺腫 22例の捺印標本を用いて c-erbB‐2 と c-myc の検索を免疫染色にて行った。乳頭癌の 65.1% が erbB‐2, 60.5% が c‐myc にて陽性で,他の腺腫に比べ有意に高い陽性率を示した。erbB‐2 陽性ではリンパ節の総数が増加するにつれて多くのリンパ節転移を認め,腫瘍の周囲組織への浸潤を認めた。c‐myc では転移・浸潤との関係はなかった。

内分泌外科 第12巻,第2号,1995年: 141-6
甲状腺癌 分化癌切除不能病巣への術中照射療法
中原浩, 野口志郎, 村上信夫, 平田秀紀

癌の臨床 第41巻,第2号,1995年: 132-6
特集 甲状腺腫瘍の診断と治療の進歩 甲状腺癌の病理学的特徴
山下裕人, 野口志郎

臨床外科 第49巻,第11,1994年:233-9
新・悪性腫よう治療のプロトコール 甲状腺癌治療のプロトコール(3)
野口志郎

内科 第74巻,第5号,1994年:876-9
特集 甲状腺の病気―最新のアプローチ 甲状腺の腫瘍
野口志郎

Med Pract 第11巻,第8号,1994年:1467-9
甲状腺疾患・治療 病期・病態に応じた治療の実際 甲状腺腫瘍 その取り扱いかた
野口志郎

臨床医 第19巻,第12号,1993年:2440-1
特集 甲状腺の臨床 痛みのある甲状腺腫
野口志郎

Medicina 第30巻,第2号,1993年: 280-1
内科疾患患者の生活指導 内分泌・代謝疾患 甲状腺疾患
森田三雄, 野口志郎
 バセドウ病の場合,薬物療法の効果が現れるまでに1か月以上要するので,服薬指導を適切に行い,副作用発現にも注意を促して,肥満に陥らないようカロリー制限を行う。放射性ヨード治療を行っている際は海藻類の摂取は控えさせる。心房細動が出現したときは徐細動を行わなければならない。慢性甲状腺炎(橋本病)の場合は,動脈硬化の進行,副腎皮質機能不全に留意する。甲状腺ホルモン剤の副作用についてはあまり気にすることはないが,規則的な服薬を厳守させる

外科 第55巻,第3号,1993年: 264-9
特集/甲状腺癌の外科 甲状腺癌に対する頚部郭清術の意義
野口志郎
 肉眼的な転移があるような症例は郭清をすることによって確実にbenefitを得る症例であり,バセドウ病に合併した微小な癌からの微小な転移をもっているような症例は郭清によってbenefitを得ることがほとんどない症例と思われる。それらの両極端のあいだにさまざまな程度の症例があり,はっきりと線を引くことは困難と思われる

臨床外科 第47巻,第13号,1992年: 1551-3
特集 今日の甲状腺癌診療 診断の実際―私はこうしている
野口志郎
 甲状腺癌の診断法は近年著しく進歩した。触診,超音波エコー,穿刺吸引細胞診を組み合わせると,乳頭腺癌を良性の腫瘍と誤診する(偽陰性)率は 10% かそれ以下になった。また,誤診される症例の過半数は癌以外に合併病変を持つものか,ろ胞状構造を主とする乳頭腺癌であり,浸潤などが少なく,良性の腫瘍としての手術をしても予後に重大な影響の少ないものであった。X線CT, MRI, 201Tl などは,癌であるか良性の腫瘍であるかの鑑別に用いる必要はなく,重症例や再発例の場合に癌の拡がりをみる時に用いるべき手段と思う

癌の臨床 第37巻,第10号,1991年: 1035-8
甲状腺分化癌の手術不能例に対するエタノール腫瘍内注入療法の試み
山内泰介, 野口志郎, 村上信夫, 山口公雄, 井村真里, 谷口雅彦
 4例で再発リンパ節内,3例で甲状腺腫瘍内にそれぞれエタノールを注入したが,いずれも根治手術不能例であった。全例分化型で,乳頭癌及びろ胞癌であった。6例で腫瘍の大きさが縮小し,残りの症例ではCT上腫瘍が縮小した

ホルモンと臨床 第39巻,第7号,1991年:681-4
特集/甲状腺腫瘍:基礎と臨床 甲状腺癌の診断をいかに進めるか 外科医の立場から
野口志郎
外科医の甲状腺癌の診断は,手術が必要か否かの点から,触診及び穿刺吸引細胞診等から甲状腺由来の決定,癌か良性腫りゅうかの診断を行い,さらに手術の緊急性を検討する。また,周辺臓器の合併切除の術前の予測から癌の拡がりの診断や手術の根治性の検討も重要である。

Mebio 第7巻,第8号,1990年:65-9
甲状腺疾患 治療のポイント バセドウ病―外科的治療の実際 問題となる術後甲状腺機能変化
野口志郎


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since 2000, from 1998 to 1999, from 1995 to 1997, from 1990 to 1994, in 1980s

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