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第2章 糖尿病の合併症2006.1.10更新

急性代謝失調 (糖尿病性昏睡)
 インスリン注射の自己判断での中断などにより体の中のインスリン量が極端に少なくなったり、肺炎などの感染症や暴飲暴食などのためインスリンの必要量が増えるなどの原因により、急激に血糖コントロールがみだれ著明な高血糖(多くは500mg/dl以上)を来す場合を急性代謝失調といいます。脂肪の分解によって体内にケトン体という物質が貯まり血液が酸性になって意識が無くなること(糖尿病性ケトアシドーシス)もあります。初期の症状としては、強い口渇、倦怠感、急激な体重減少、食欲低下、吐き気や腹痛などの症状があります。これらの症状がある時にはすぐ病院に連絡しなければいけません。

慢性期の合併症
 "風邪は万病のもと"といわれますが、糖尿病こそまさしく万病のもとです。高血糖が永年続いた結果、引き起こされる病気を糖尿病の合併症といいます。糖尿病の恐ろしさはこの合併症により、失明したり足を切断したりするなど全身が冒されることにあります。これらの合併症のほとんどは、10年、20年という長い経過の中でゆっくり進行します。血糖が高いまま放置して定期的な検診も受けていない場合には、かなり進行した状態で合併症が診断され、治療が困難であったり後に大きな障害を残すことがあります。逆に良好な血糖コントロ−ルを維持しておけば合併症を予防することができます。慢性期の合併症は糖尿病に特異的な合併症である細小血管障害(糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害:これらを糖尿病の3大合併症といいます)と大血管障害、その他の合併症に分けられます。糖尿病治療の目標はこれらの合併症を予防することです。そのためには日頃から良好な血糖コントロールを維持する必要があります。

細小血管障害(3大合併症)
1) 糖尿病性網膜症
   血糖値が高い状態が5〜10年続くと眼底の小さい血管に変化が出はじめ、点状出血や硬性白斑と呼ばれる病変が現れます。これを単純性網膜症といいます。この時期には血糖を良好にコントロ−ルすれば網膜症を良くすることができます。さらに進行して眼底の毛細血管が広範囲で閉塞すると、新生血管という破れやすい血管に置き換わってしまいます。このような状態を増殖性網膜症といい、もはや血糖コントロールだけで網膜症を良くすることはできません。光凝固治療を受けなければ大きな眼底出血を起こします。眼底出血を繰り返した後などには硝子体手術が行われますが、視力を失ってしまうこともあります。糖尿病性網膜症は進行するまで自覚症状がないことが多いので、視力が正常でも少なくとも6ヶ月に1回は眼底検査を受けなければなりません。後天的な失明の原因となる疾患の中で最も頻度の高いものが糖尿病性網膜症です。
2) 糖尿病性腎症
   腎臓は体の中の老廃物や余分な水分を尿として体の外に出す働きをしています。血糖コントロールの悪い状態が長く続くと尿にたんぱくが出るようになります。さらに進行すると血液中のたんぱくが減って体がむくんだり血圧が高くなったりします。さらに腎不全が進行すると透析が必要になることがあります。血液透析導入の原因となる疾患で最も頻度の高いものが糖尿病性腎症です。糖尿病性腎症の発症や進展を予防するためには、血糖と血圧のコントロールと食事のたんぱく質を制限することが必要です。
3) 糖尿病性神経障害
   糖尿病性神経障害には主に自律神経の障害と末梢神経の障害があります。自律神経が障害されると、起立性低血圧症、便通異常、排尿障害、ED(勃起障害)、胃無力症、無自覚性低血糖などの症状を認めます。末梢神経障害では、四肢末端の左右対称性の痛みやぴりぴりする異常感覚、知覚鈍麻などの症状がみられます。予防のためには血糖コントロ−ルを良好に保つことが最も重要です。また、外眼筋麻痺、顔面神経麻痺など単一神経の障害が見られることもあります。

大血管障害(動脈硬化)
 糖尿病は高脂血症、高血圧症、肥満、喫煙などと並んで動脈硬化の危険因子であることが知られています。動脈硬化の予防のためにはこれら全てのコントロ−ルが必要です。
1) 心筋梗塞、狭心症
   心臓の血管(冠動脈)がつまったり、狭くなったりするためにおこる病気です。心筋梗塞では急に胸が締め付けられる様に激しく痛みます。狭心症では労作時に胸の不快感、圧迫感がおこり、休息によって軽快します。糖尿病性神経障害があれば胸痛などの症状を感じないために、診断が遅れることがあります。また、冠動脈の広い範囲で動脈硬化が進行している場合には心不全の症状で診断されることもあります。診断のためには安静時の心電図や運動負荷心電図などの検査を行います。
2) 脳卒中(脳梗塞、脳出血)
   糖尿病では脳出血に比べて脳の血管がつまる脳梗塞が多く見られます。急に左右どちらかの半身麻痺や発語障害、意識障害などがおこります。小さな脳梗塞が多発する場合は麻痺などの症状を示さず痴呆様症状をきたす時もあります。これらの症状がある時にはCTやMRIで検査します。
3) 閉塞性動脈硬化症
   動脈硬化のために下肢の太い動脈が狭くなって血液の循環が悪くなる病気です。長い距離を歩くとふくらはぎの筋肉などが痛くなり、休むと痛みが軽くなるのは閉塞性動脈硬化症の初期の症状です。さらに、動脈が狭くなると安静時にも痛みが出るようになります。動脈がつまってしまうと下肢末梢が壊死に陥ってしまい下肢を切断する場合があります。足の動脈の拍動や足の血圧を確認し、血管造影を行って診断します。

その他の合併症
1) 感染症
   血糖コントロールが悪いと、細菌や真菌(かび)などに対する抵抗力が弱くなり、感染症(肺炎、結核、腎盂腎炎、膀胱炎、歯槽膿漏など)にかかりやすくなります。血糖値が高いと感染症が重症化しやすく、重症の感染症のためにさらに血糖コントロ−ルが悪化するという悪循環を生じます。予防と早期の治療が大切です。
2) 糖尿病性壊疽
   足の小さな傷が治りきらないで化膿したり潰瘍になったりして、足の指やかかとの一部が死んでしまうことを壊疽といいます。痛みを感じる神経が障害されているために傷に気づかないこと、細菌に対する抵抗力が低下しているため化膿しやすいこと、動脈硬化のため血液の循環が悪いことなどが原因です。治療が遅れると切断しなければいけないので、早期発見早期治療が必要です。けがや火傷に注意して、いつも足を清潔に保たなければいけません。
3) 糖尿病性骨減少症など
   糖尿病では骨の代謝が低下し骨密度が低下します。その他にも糖尿病は白内障、緑内障、歯周病、各種皮膚疾患など多くの病気の原因になります。

糖尿病に随伴することが多い代謝異常
1) 肥満
   肥満は2型糖尿病の重要な誘因のひとつです。肥満を伴った糖尿病の人が食事療法や運動療法によって体重を減らせば血糖コントロールが改善されます。肥満は血糖コントロ−ルを悪くするだけでなく、高血圧症、高脂血症や動脈硬化にも悪影響を与えます。肥満は食べ過ぎと運動不足の結果です。食事療法と運動療法を守って体重のコントロ−ルを心がけなければいけません。
2) 高血圧症
   高血圧症は動脈硬化を促進し、さらに糖尿病性腎症などの糖尿病合併症を増悪させます。血圧の高い人には自宅での血圧測定が勧められます。毎朝起床時に上腕用血圧計を用いて測定して下さい。収縮期血圧は130mmHg未満、拡張期血圧は80mmHg未満を目標とします。
3) 高脂血症
   糖尿病では中性脂肪やLDL-コレステロール(悪玉コレステロール)の増加やHDL-コレステロール(善玉コレステロール)の低下がよくみられます。目標とする値は総コレステロール200 mg/dl未満、LDL-コレステロール 120 mg/dl未満、中性脂肪150 mg/dl未満、HDL-コレステロール 40 mg/dl以上です。
4)

メタボリックシンドローム

従来から肥満、特に内臓脂肪型肥満(おなかについた脂肪が多いタイプの肥満)が高血糖、高血圧、脂質代謝異常と密接な関係にあることが指摘されていました。実際に糖尿病と高血圧症を同時に持っている人はたくさんいます。これらはいずれも動脈硬化、虚血性心疾患の危険因子で、それぞれの異常は軽度であっても重複すると危険性が高まることが知られています。最近はこれらが重複する病態のことをメタボリックシンドロームと称しています。日本人のメタボリックシンドロームの診断基準は以下のとおりです。

必須項目:ウエスト周囲径が男性では85cm以上、女性では90cm以上

上記に加えて以下の2項目以上が該当する

(1)中性脂肪150mg/dl以上かつ/またはHDLコレステロール40mg/dl未満

(2)収縮期血圧130mmHg以上かつ/または拡張期血圧85mmHg以上

(3)空腹時血糖110mg/dl以上



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