内分泌疾患専門病院
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バセドウ病眼症

バセドウ病眼症とは

 バセドウ病に伴うことがある特有の眼症状です。眼球を動かすための筋肉(外眼筋)の炎症やまぶたを動かす筋肉の異常のために、まぶたや結膜の腫れ、充血、流涙、眼の痛み、眼球突出などを生じます。さらにものが二重に見える(複視)、視力の低下、角膜の傷などを生じることが稀にあります。

 上記の症状に加え、眼科での診察所見や眼のMRIの所見から診断します。

バセドウ病眼症の治療

 眼症がごく軽度の場合は眼に対する治療が必要ないこともよくあります。外眼筋の炎症が活発な場合は、まずこの炎症を鎮める治療をします。ステロイドパルス療法と球後照射の併用が標準治療です。入院での治療になります。ステロイドパルスとはステロイド薬を点滴で投与する方法で、最も効果の強い治療法ですが、色々な副作用の可能性があります。また、胃潰瘍やB型肝炎、その他の感染症がある場合など、ステロイドパルス療法をしてはいけない時もあります。球後照射は外眼筋に対する放射線照射治療ですが、35歳未満の方、糖尿病などによる網膜病変のある方にはできません。

 外眼筋の炎症はすでに治まっているけれど、複視のために日常生活に支障がある場合は眼科での手術治療を行います。眼科での手術が必要な場合は専門の眼科医を紹介いたします。

 いずれの場合も、甲状腺機能を正常に保つことと、たばこを吸わないようにすることが前提です。非喫煙者に比べて喫煙者に眼症が起こりやすく、治りにくいことが知られています。ステロイドパルス治療を要する眼症と診断される方はバセドウ病全体の約3〜5%の割合です。