内分泌疾患専門病院
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第5章 運動療法

運動療法の効果

1) 血糖を下げる効果

インスリンの感受性を改善し、運動のエネルギー源としてブドウ糖を使うため血糖を下げる効果があります。

2)減量と筋力の維持

食事療法を充分に守りながら運動を行うことにより不要な体脂肪を減らすことができます。筋肉を鍛えて筋力を維持する効果があります。

3) 高脂血症を改善する効果

中性脂肪やLDL-コレステロールを減らす効果があります。

4) 血圧を下げる効果

無理のない運動により血圧を下げる効果があります。

5) その他の効果

心肺機能を高めたりストレスを解消し気分転換に役立つ効果などがあります。

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運動療法の適応と禁忌(運動をしてはいけない時)

運動療法は有効な治療法ですが、全ての人が行えるわけではありません。運動してはいけない場合もありますし、やり方次第で運動療法がむしろ逆効果になる場合もあります。運動療法を始める前には今までの運動習慣、血糖コントロール状態、合併症の程度などに基いて適切な運動の方法を考えなくてはいけません。

次のような人は運動療法を行ってはいけません。

  1. 血糖コントロールが極端に悪い場合(空腹時血糖が250mg/dl以上、または尿ケトン体中等度以上陽性)。
  2. 腎不全がある場合(クレアチニンが2.0〜2.5 mg/dl以上)。
  3. 心肺機能に障害のある場合。
  4. 増殖性網膜症による新鮮な眼底出血がある場合。
  5. 足や腰などに故障がある場合。
  6. 風邪や下痢などで体調が悪い場合。

運動療法の方法

糖尿病の運動療法としては早足でのウォーキングが勧められます。100 m/分程度の速度でのウォーキングで、歩きながら隣の人と話しができる程度のきついとは感じない運動です。運動の強さは最大限の運動の50 %前後の強度が適切ですが運動習慣のない人は40 %くらいの強度の運動から始めます。運動の強さは運動中の脈拍数から類推することができます。例えば運動強度を50 %としたい時の目標脈拍数は{(220-年齢) – 安静時心拍数}x 0.5 + 安静時心拍数(カルボーネンの式)で求められます。運動中の脈拍がこれより多い時は運動の強さを落とします。目標心拍数になるようなウォーキングを20〜30分すると約100 kcalが消費されます。できれば1日2回、週に3日以上運動します。運動の前後にはウォーミングアップとクーリングダウンを忘れないで下さい。
 夏は涼しい時間、冬は暖かい時間に運動するとよいのですが、食事前の空腹の時や食事直後の1時間の運動は避けて下さい。特に経口糖尿病薬やインスリンで治療している人では低血糖の起こりやすい時間を避けて運動しましょう。また、低血糖に備えて砂糖などを準備しておきましょう。運動の前には十分に水分を補給して運動中に脱水にならないように気を付けて下さい。また、服や靴は運動しやすいものを選びましょう。

次のような時は、ただちに運動を中止しましょう。

  1. 胸が苦しい、または脈が乱れる時。
  2. めまい、冷や汗、強い空腹感やふるえがある時。
  3. 関節や筋肉に痛みを感じた時。

目標とする年齢別脈拍数早見表

年齢

脈拍数

  15秒間  

  1分間  
20~29歳
31
125
30~39歳
30
120
40~49歳
29
115
50~59歳
28
110
60歳以上
25
100

1単位(80 kcal)の運動量

  • 速歩・・・・・・・・・・・・    25〜30分
  • 軽いジョギング・・・・    10〜15分
  • 階段の登り降り・・・    15分
  • 自転車・・・・・・・・・・    15分
  • 体操・・・・・・・・・・・・    15〜20分
  • 水泳・・・・・・・・・・・・    5〜10分

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