内分泌疾患専門病院
甲状腺・副甲状腺疾患、糖尿病などの生活習慣病 Facebookページへ Twitterへ

第4章 食事療法

食事療法の基本

糖尿病の食事療法とは適正なエネルギー量で栄養素のバランスのとれた食事をすることです。特別な治療食があるわけではありません。偏食をさけて規則正しい食生活を心がけることが基本です。

1)適正なエネルギー量

標準体重(kg)=身長(m) x 身長(m) x 22 で標準体重を求めます。標準体重1 kgあたり25〜30 kcalが適正なエネルギーですので、標準体重に25〜30をかけた値が1日にとる適正なエネルギー量になります。25〜30の範囲で肥満では少なめ、高齢者では少なめの値をかけます。激しい肉体労働をする場合は30より大きい数字をかけることがあります。例えば標準体重50 kgの人では1日の適正な摂取エネルギー量は1250〜1500 kcalの範囲です。

2)栄養素のバランス

食品には炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン・ミネラルという栄養素が含まれています。これらを過不足なく摂ることが健康を維持するためには不可欠です。炭水化物、脂質はからだを動かすエネルギーのもとになります。たんぱく質はからだをつくるもとになります。エネルギーの比率では炭水化物約60 %、タンパク質約20 %、脂質約20 %程度になるように栄養素の配分を決めます。

3)規則正しい食生活

1日3回なるべく一定の時間に食事を摂って下さい。もし一食を抜いたりすると次の食事までに空腹感が増幅されて食べ過ぎになってしまいます。夜遅く食べたり、朝寝坊のために朝食を抜くということがないように規則正しい食生活を続けて下さい。

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食品交換表

糖尿病食事療法のための食品交換表(日本糖尿病学会編、日本糖尿病協会・文光堂出版)には色々な食材を栄養素の構成によって1〜6の表に分類した上で各食材の80 kcal(食品交換表では80 kcalに相当する量を1単位といいます)に相当する重さが示されています。1単位(80 kcal)に相当する重さは食材ごとに違います。例えばごはんは50グラムが1単位ですが食パンなら30グラムが1単位です。しかし同じ表に属する食材はどれを食べても栄養素の構成は同じです。1日に食べる分量を各表から何単位ずつ摂るか決めておけば、毎日決まったエネルギー量の中で適切な栄養のバランスが保てます。

食品交換表の構成

主な栄養素 代表的な食品 意外な食品
表1 炭水化物 穀物、いも、麺、
パン
かぼちゃ、
蓮根、コーン
表2 炭水化物 果物
表3 たんぱく質 魚、肉、卵、
大豆製品
チーズ
表4 たんぱく質 牛乳、乳製品
表5 脂質 油脂 ベーコン、ごま、
ピーナツ
表6 ビタミン 野菜、海藻、きのこ こんにゃく

1) 表1:主食の表です。表1から1日に摂る単位数は人によって違います。
2) 表2: 果物の表です。ビタミンやミネラルも豊富に含まれています。毎日1単位ずつ摂ります。
3) 表3:おかずに使う食材が含まれる表です。動物性たんぱく質に偏らないように1日1単位は植物性たんぱく質を摂ります。
4) 表4:牛乳の表です。牛乳は180 mlで1.5単位です。毎日摂ります。
5) 表5:油の表です。脂質は1 gが9 kcalのエネルギーを作ります。量が少しでもエネルギーが多いので油の使いすぎには注意が必要です。
6) 表6:野菜の表です。野菜は300 gが1単位です。毎日1単位の野菜を摂りましょう。野菜の仲間でも芋、かぼちゃ、れんこんなどは表1に属します。
7) その他:調味料のうち砂糖、みりん、味噌などは使いすぎるとエネルギーとして無視できません。塩、しょうゆ、酢、ソース、化学調味料、香辛料のエネルギー量は無視できますが使いすぎに注意します。

献立の立て方と単位配分

例として1日に1400 kcalが適正なエネルギー量である場合について1日分の単位の配分を説明します。端数を切り上げて1日18単位とします。この18単位を表1から9単位、表2から1単位、表3から4単位、表4から1.5単位、表5から1単位、表6から1単位、調味料を0.5単位と振り分ければ適切な栄養素のバランスがとれることが判っています。さらにそれぞれを3食に振り分けます。表1、表3、表6と調味料はなるべく3食均等に割り付けます。表2、表4、表5は分けても良いし、一度に1日分をとっても構いません。3食の単位数がおおよそ同じになるようにします。1日の摂取エネルギー量が異なる場合は表1、表3、表5の単位数で調節します。

1400 kcalの単位配分例

表1 表2 表3 表4 表5 表6 調味料 合計
朝食 3 1 1 0.5 0.3 0.3 6.1
昼食 3 1 1.5 0.3 0.1 5.6
夕食 3 2 0.5 0.4 0.1 6
合計 9 1 4 1.5 1 1 0.5 18

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合併症と食事療法

1)高血圧症がある場合

塩分を控えて下さい。料理に塩やしょうゆの味付けを追加する時は必ず味見をします。缶詰や惣菜のような便利な食品にあまり頼らないで下さい。漬け物、佃煮などにもたくさんの塩分が含まれています。ラーメンのスープやそばのつゆなどは飲まずに残します。塩分の多いしょうゆ、ソース、ケチャップなどを控え、香辛料、薬味、酢などを使います。ハム、ソーセージなど燻製塩漬けのものをなるべく控えて下さい。

2)コレステロールが高い場合

コレステロールの多い食品を控えます。肉は油の少ないものを選びます。卵は2〜3日に1個で充分です。バターのかわりに植物性のマーガリンを使います。また、食物繊維には腸からのコレステロールの吸収を妨げる働きがあります。

外食

外食は味付けが濃く、油ものが多くてひとり分のエネルギー量が高い傾向があります。また、栄養素のバランスも悪くなりがちです。定食や幕の内弁当のように色々な栄養素を摂れる料理が勧められます。ごはんの量を確認して揚げ物などエネルギーの摂りすぎになりそうなものは残して下さい。そば、うどんなどの一品料理では野菜などが不足しますので補って下さい。

食事療法を効果的に進めるために

1)不要な食べ物を買わない

食料を買いに行く時はあらかじめ献立を考えて買うものを決めて行きます。さしあたって必要のないものを買いだめしないで下さい。食後の満腹の時に買い物に行くように心がけて下さい。

2)献立の注意

食べるのに手間のかかるものやよく噛まないと食べられないものをとりいれます。大皿に盛りつけず、ひとり分ずつ小さな器に盛ります。たっぷりの野菜の付け合わせと汁物を一品出します。

3)食べる時の注意

ゆっくりよく噛んで食べます。飲み込むまでは次に箸をつけないようにします。間食を止めるためには、決まった時間、決まった場所以外では食べ物を口にしない、手の届くところに食べ物を置かない、テレビをみる時は食べない、などのルールを守るよう心がけて、退屈やストレスを食べることで紛らわすことがないようにして下さい。

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