内分泌疾患専門病院
甲状腺・副甲状腺疾患、糖尿病などの生活習慣病 Facebookページへ Twitterへ

甲状腺の検査

甲状腺に関する血液検査

Free T3とFree T4

 血液中の甲状腺ホルモンの量を示します。甲状腺ホルモンにはトリヨードサイロニン(T3)とサイロキシン(T4)の2種類があります。血液中では大部分がある種のたんぱく質と結合していて、ごく一部のホルモンだけがたんぱく質から離れています。このたんぱく質に結合していないホルモンをFree T3、Free T4といいます。これらが増加した状態が甲状腺中毒症(バセドウ病など)、減少した状態が甲状腺機能低下症です。診断だけでなく、薬物治療中に薬の量を調節するためにも必要な検査です。

TSH(甲状腺刺激ホルモン)

 下垂体から分泌されるホルモンのひとつで、名前のとおり甲状腺を刺激して甲状腺ホルモンを作らせるのが役割です。バセドウ病など甲状腺中毒症ではTSHは低くなり、逆に甲状腺機能低下症では高くなります。甲状腺機能を正確に判断するために必須の検査です。

 バセドウ病を薬で治療すると、まずFree T4、Free T3が徐々に低下してきます。その後に遅れてTSHが上昇することが普通です。最終的にはTSHも含めて正常化させることが目標です。甲状腺機能低下症を薬で治療する場合にも一般にはTSHが正常になるように薬の量を調節します。

 TSHには甲状腺を大きくさせる作用や甲状腺癌の細胞を増殖させる作用のあることが知られています。慢性甲状腺炎で大きく腫れた甲状腺を小さくしたい場合や、癌の術後で再発予防を積極的に図る必要がある場合にはTSHがやや低めになるように甲状腺ホルモン剤の量を調節することがあります。

サイログロブリン(Tg)

 サイログロブリンは甲状腺ホルモンを作るためのもとになるたんぱく質です。体内では甲状腺にしか存在しませんが、血液中にもごく微量検出されます。また甲状腺癌の転移巣にも存在することがあります。血液中のサイログロブリンの濃度は種々の甲状腺疾患で増加しますので、この値から疾患の種類を診断することはできません。癌の術後に再発の指標として測定するのが主な使い道です。

 また、頚部リンパ節に甲状腺癌の転移があるかどうか調べるために細胞診をしますが、採取した細胞液の中にサイログロブリンが含まれるかどうかを測定して転移の診断に役立てることもできます。

抗サイログロブリン(Tg)抗体、抗TPO抗体

 いずれも甲状腺に対する自己抗体です。慢性甲状腺炎やバセドウ病で高値(陽性)になることがあります。甲状腺に自己免疫現象が生じていることを示すもので、慢性甲状腺炎と診断するための重要な根拠になります。しかし、これらの疾患でも陰性の場合がありますので陰性でも慢性甲状腺炎でないとは言い切れません。

TRAb(抗TSH受容体抗体)

 バセドウ病と診断する重要な根拠のひとつです。バセドウ病では血液中に存在するTRAbが甲状腺を刺激することによって甲状腺機能亢進症が起こると考えられています。TRAbが高値の甲状腺中毒症はバセドウ病と診断してほぼ間違いないのですが、例外的にバセドウ病でも高くない場合や他の疾患でTRAbが高くなる場合がありますので注意を要します。TRAbはバセドウ病の薬物治療の経過を見るのにも重要な検査です。薬物治療がうまく行く場合にはTRAbが徐々に低下してきます。TRAbが高いままで薬物治療を中断すると再発する可能性が高いことが知られています。

 TSAbという検査も抗TSH受容体抗体を調べる検査ですが、TRAbとは異なる方法で測定するものです。バセドウ病に伴う眼症状のある方ではTSAbが高いことが多いようです。

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頚部超音波検査

 超音波(エコー)を使って甲状腺とその周囲を調べる検査です。次のような目的で行います。

甲状腺の大きさの測定

 甲状腺の縦・横・厚さを測定して体積を計算します。甲状腺の大きさの変化から薬剤の治療効果を判断したり、放射性ヨウ素治療時の薬の投与量を決めたりするために必要です。

腫瘍の検出

 甲状腺の腫瘍の位置、大きさ、数を調べます。およそ2mm程度の触診では判らない小さな病変も検出できます。

腫瘍が良性か悪性かの診断

 腫瘍の形や内部の特徴から悪性か良性かを診断します。甲状腺癌の中で最も多い乳頭癌は超音波検査により95%の精度で悪性と診断できます。

血流評価、組織弾性評価(エラストグラフィ)

 病変の血流が多いか少ないかが判ります。また、病変の硬さを推定することができます。これらの情報が診断の参考になることがあります。

リンパ節の検出

 炎症で腫れたリンパ節や、リンパ節への転移がないか調べます。

副甲状腺など甲状腺以外の病変の診断

 副甲状腺腫や神経鞘腫などの頚部の腫瘍の診断に有用です。

甲状腺腫瘍の術後の定期検査

 癌の術後に頚部に腫瘍が再発していないかどうかをみるために定期的に超音波検査を行います。

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穿刺吸引細胞診

穿刺吸引細胞診の目的と方法

 細い注射針を使って甲状腺・リンパ節・腫瘍などの細胞を採取し、染色して顕微鏡で見て、その形態から癌かそうでないかなどを診断するための検査です。通常はまず超音波検査で病変を観察します。続いてそのままの姿勢で目的とする病変に注射します。腕の静脈から採血する時に使うような細い注射針を使います。注射器で細胞を吸引採取し、この細胞を顕微鏡で観察して診断に供します。局所麻酔の必要はありません。超音波で針先を確認しますので正確に目的とする病変から細胞を採取することができます。検査後、注射した部を約5分間圧迫してください。当日の入浴には差し支えありません。

検査に伴う合併症

 静脈採血と同じ程度の注射に伴う痛みがあります。検査後1~2日間は注射した部に軽い痛みや皮下出血斑をみることがあります。極めて稀に注射した直後に甲状腺や甲状腺周囲が腫れることがあります。注射部位の感染は極めて稀です。また顎をあげて頚部を伸ばすような姿勢をとるため検査後に軽いめまいなどがおこる場合があります。万一、合併症が起こった場合は担当医が責任を持って対応します。

再検査の可能性

 細い注射針で採取を試みますので、1回の検査では確実に診断するために充分な細胞がとれないことがあります。このような場合は必要に応じて再検査を行います。当日の再検査も可能です。疾患によっては細胞が充分採取できても細胞所見だけでは診断が困難な場合もあります。また、細い針先が当たった部分の細胞だけしか採取できませんので、採取部位によって所見が異なることがあります。従って何回か採取しないと正確な診断に至らない場合もありえます。

穿刺吸引細胞診の有用性

 甲状腺癌の中で最も多い乳頭癌はこの検査では約98%の精度で診断することができます。腫れたリンパ節が乳頭癌の転移によるものかどうかの診断にも極めて有効です。濾胞癌と良性腫瘍の区別は一般に困難ですが、その他のタイプの甲状腺悪性腫瘍の大部分が細胞診で診断可能です。甲状腺に慢性の炎症があるかどうかも細胞の所見から診断できる場合があります。

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